胡錦濤「退場劇」の真相

台湾

藤井:台湾ボイスの会員の皆さん、こんにちは。藤井厳喜です。今日も林建良さんと2人でお送りします。今日のタイトルは『チャイナの行方』です。先日、第20回中国共産党大会が開かれました。一般のニュースでも伝えられていますが、いろんな事件が起きています。林さん、今日も解説をよろしくお願いします。

林:はい。よろしくお願いします。

藤井:今日は話題がいっぱいあります。全体タイトルは『チャイナの行方』ということで、いつも通りABCDのセクションに分けてお送りします。A『党大会でわかるもの』、B『チャイナ経済の行方』、C『チャイナ外交の行方』、そしてD『台湾に武力侵攻する習近平』と四つの大きなカテゴリーに分けて話を進めていきます。いろんな波乱が起きたので、まずは冒頭にそこら辺から林さんにお聞きしたいと思います。僕も昨日から林さんに聞きたくてたまらなかったところです。

林:わははは。

藤井:わははは。まずはそこら辺の解説からお願いします。

林:はい。昨日、第20回共産党大会が閉会しました。そして閉会の直前には、規約の改正案を決議するための評決が行なわれました。人事の評決は非公開、規約の評決は公開となっていて、その非公開から公開に移った段階、つまり人事の評決が終わったところでマスコミを会場に入れ、カメラが設置されていました。その瞬間に胡錦涛前国家主席が退場させられたわけです。このことについて、いろんな憶測が流れています。なぜ退場させられたのか、あるいは自ら退場したのかに関していろんな見方が出ています。僕が中国共産党のことを判断するときにいつもどのような手順を踏むかというと、まずは100%の事実から判断しています。そして7割から8割ぐらいは事実であろうという推測も踏まえ、考察していきます。またこの2点に基づいて、その後にどんなことが起きたのかを考えていきます。さらに推測の範囲に入っていくという手順で判断することにしていきます。最初に100%の事実だけを説明します。先ほど申し上げたように、100%の事実は胡錦涛が退場したということ。退場させられたのか、あるいは自分から退場したのかということは別にして、退場したこと自体は100%の事実です。もう一つの100%の事実は、胡錦涛が退場する前に中央委員の人事が決まっていたということです。基本的には発表していないものの、その段階では中央委員の人事だけではなく、政治局員と常務委員の人事も同時に決まっていたと思います。これは100%の事実です。そして外国のマスコミを含め、マスコミが会場のなかに入ってきた。これも100%の事実です。そのタイミングで胡錦涛が退場したことも事実です。昨日の閉会式の夜、新華社通信はTwitterに退場したことについて健康上の理由だったとわざと英語で投稿しています。この説明を見て、僕は「なるほど。そうであれば健康上の理由ではない」とほぼ確信しました。もう一つの7割から8割ぐらいはおそらく事実であろうということも説明していきます。外国のマスコミ関係者が撮影した映像を見れば、胡錦涛本人は基本的には退場したくなかったということが分かります。彼に退場する意思は感じられません。しかしおそらく習近平のSPと思われる係員が後ろから胡錦涛を両手で抱えて強制的に退場させようとしている姿がカメラに捉えられています。そのとき、胡錦涛は明らかに手を振り解こうとした。つまり、それを拒否したということです。そして胡錦涛はしばらく拒否する姿勢を見せていましたが、2人目の係員がやってきて、さらに退場を迫っていました。これはおそらく7割から8割ぐらいは事実だろうと推測できる部分ですが、胡錦涛は退場したくなかったと考えられます。胡錦涛は習近平の書類に手を伸ばして、その書類を取ろうとしました。ところが習近平が書類を手で押さえて取らせなかった。これも基本的には事実であろうと思います。もちろん別の可能性もわずかながら存在しますが、基本的には今の表現でおそらく間違いないだろうと考えられます。それから彼が退場する際に習近平に向かって一言や二言ぐらい何かを言っていますが、おそらく胡錦涛は抗議していたのではないかと僕は推察しています。習近平は基本的に無表情を貫いていました。それから胡錦涛は連れていかれる途中で習近平の隣に座っていた李克強の肩を軽く叩いています。なぜ李克強の肩を叩いたのか。バイバイということではないでしょう。おそらく李克強に助けを求めたのではないでしょうか。しかし李克強は無表情で、胡錦涛を見ることさえしなかった。胡錦涛と李克強は上司と部下の関係です。そして共産党青年団派の李克強と汪洋の恩人は間違いなく胡錦涛です。それでも、李克強はかつての上司であり、恩人の胡錦涛を見られなかった。退場する途中には他にも何人かが座っていました。宋平や温家宝などの長老のほか、最後には共産党青年団派の胡春華も座っていました。胡春華はかつて胡錦涛によって養成された人間の1人です。しかしながら、みんな揃って無表情で胡錦涛を見なかったわけです。では、胡錦涛の退場は本当に健康上の理由なのでしょうか。医師の僕からすれば、健康上の理由の場合は二つの状況しか考えられないと思います。周りから見て明らかにおかしいと思われている状態。つまり意識を失ってしまったとか、倒れたとか、あるいは痙攣しているとか、震えているとか、周りから見て様子が明らかにおかしいときには健康上の何らかの理由があると思われます。それ以外に目で見て明らかに分かるような症状もないのに、それでも健康上の理由だとすれば、気持ちが悪いとか、頭が痛いとか、胸が痛いとかを自ら訴える以外にないと思います。しかしどちらもなかった。自分から健康上の理由を訴えるようなことであれば、おそらく早く出ていたのではないかと思います。そして本当に健康上の理由であれば、周りの人がこんなに冷たいのはどういうことでしょうか。

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