数字で見るアメリカの脱中国

台湾

台湾ボイスの皆様、こんにちは、林建良でございます。我々は普段、経済を見る際にはマクロ経済とミクロ経済の両方を見ます。マクロ経済とは何かというと統計です。ミクロ経済といえば、各々の消費者の行動、あるいは小さな店の個別の営業状況とかです。一般的に見れば、両方見た方が正しく判断できるわけです。例えば僕もよくタクシーに乗る際に、タクシーの運転手に「どうですか、今の景気は」と聞きます。「いやあ、さっぱりだ」と言われると、景気が悪いなと。「大変だ、忙しくて」と言われれば、それは景気がいいということです。良くても悪くても文句を言うのは、人間の常なのです。しかし、それだけで1つの判断にはなります。しかし、中国の場合は、マクロ経済、つまり統計による判断というのは大体間違っています。なぜかというと、中国では数字の捏造が横行していて、信用できるデータが基本的にあまりないからです。ですから、中国の経済を判断する場合は、マクロ的に見るよりも、ミクロ的に各々の商店を、本当に客が入っているかどうか、店が開いているところが増えているか、あるいは人の流れは少なくなっているとかを見ます。その判断の方が場合によってはマクロ経済、あるいは統計を見るよりも正しい判断ができます。中国の統計はほとんど信用できませんが、一つだけ比較的参考になるデータがあります。どういうデータかというと、貿易に関するデータです。理由は簡単です。貿易というのは相手がいるわけです。例えば中国は、アメリカにたくさん輸出しているとします。しかし、アメリカのデータだと、「いやいや、中国からそんなに輸入していない」と。そうなると食い違うわけです。ですから、貿易のデータは両方チェックできるということで、比較的捏造しにくいのです。そういうわけで、中国政府の発表した輸出輸入のデータはある意味で参考になるデータの一つなのです。

つい最近、6月7日に、中国の海関総署があるデータを発表しました。海関とは中国語で税関という意味です。海関総署というのは税関の本部みたいな存在で、貿易を所管する部署です。そこが出した今年の5月の貿易の総額のデータでは、5月の中国の輸出の総額は2835億ドルです。そして中国の5月の輸入は2176.9億ドルです。ドルベースで計算しているわけですけれども、ここから中国の輸出にしても、輸入にしても、減少しているということが分かります。輸出は7.5%の減少です。輸入は4.5%の減少ですけども、これでも分かるように、輸出も輸入も減少すれば、経済が悪くなっているわけです。では3月と4月のデータはどうなのか。これも投資家からよく引用されているデータです。特にウォールストリートはよくこの2つのデータを引用して、中国の経済が良くなっているから、どんどん投資しろといいます。その根拠の1つは3月の中国の輸出、実はこれは前年度の比較なのですが、前年の3月と比較すれば14.8%上がっているわけです。いや、去年と比べればだいぶ良くなったじゃないですか。すごい成長でしょう、14.8%。そして4月の中国の輸出は何と8.5%上がった。これを根拠に、「いや、中国の経済は良くなっている、どんどん投資しろ」と、アメリカの投資家、アメリカのウォールストリートの投資会社は、そのように煽っているわけです。しかし、よく考えてみますと、3月と4月のこの2か月間は、中国の上海はロックダウンしています。上海とは中国の経済が一番盛んなところです。しかも、中国の輸出にしても輸入にしても、中国で最大の港です。この港が2か月間シャットダウンしているわけですから、全く輸出できなかったのです。この全く輸出できなかった2か月間、当然、去年の3月と4月の輸出額は、かなり落ち込んだわけです。だから、今年と去年の落ち込んだ時点と比べて14.8%上がってるというのは、ものすごい成長とは言えません。これは逆に、去年がものすごく落ち込んでいたということです。4月もそうです。だから、去年の上海のロックダウンが解除されて、輸出が正常になった5月、その時点と今現在と比べた方がもっと正しい判断ができるということです。

では、これは総量、全体的な量としてそうなのですけども、国別で見ればどうなのか。国別で見れば、なんと中国の対米の輸出額は5月に18.2%もダウンしているわけです。日本はどうか。日本は13.3%減少しているます。EUにしても7%減少しています。ではASEANはどうか。ASEANも実は15.9%減少しています。増えているのはロシアだけなのです。ロシアは何と114.3%増えています。理由は非常に分かりやすく、ロシアが経済制裁されていて、みんなロシアと商売しなくなったわけです。

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