頼清徳の約束

台湾

台湾ボイスの皆様、こんにちは、林建良でございます。7月4日にアメリカのウォールストリートジャーナルに掲載されたのは、台湾の頼清徳副総統の投書でした。この投書は「台湾海峡の平和を維持する私のプラン」をテーマにしており、ちょうどアメリカの独立記念日に掲載されました。では、この投書の内容は何でしょうか。この投書は、台湾海峡の平和を維持するための頼副総統の提案です。具体的な提案は以下の4つの柱で構成されています。1つ目の柱は台湾の抑止力の構築です。具体的には国防改革を行い、非対称戦略を構築することを提案しています。これは、蔡英文政権が7年間にわたって主張してきたものであり、頼副総統も改革が必要であると考えています。2つ目の柱は経済安全保障です。台湾の経済の安定と発展を重視することが提案されています。3つ目の柱は民主国家パートナーシップであり、台湾と他の民主国家との連携と協力を強化することを提案しています。4つ目の柱は台湾海峡の安定です。頼副総統は指導力を発揮し、台湾海峡の安定を確保する必要性を強調しています。なお、伝統的な台湾の軍事思考は、大型の軍艦と先進的な戦闘機の保持に重点を置いてきましたが、改革が必要であるという指摘もされています。しかし、その巨艦大砲主義というのは、ある意味で1隻の軍艦あるいは1機の最先端の戦闘機を持つために、物凄く予算がかかるわけですね。そうなると、非対称戦力の構築は当然難しくなるわけですね。彼の言う非対称戦力とは何か。つまり機動力のある、そしてコストの低い武器です。例えば無人機や個人で使うミサイルなど、このようなものをたくさん構築するべきだというのが彼の考えです。この考えは実は蔡英文政権の8年間とは矛盾はしていないけれども、現状としては、台湾の軍の中でまだそれほど進んでいないということで、彼がこういうふうに提案したわけです。

そして抑止力の2番目とはどういうことか。友好国と連携して軍事訓練をする。そして民間防衛もする。さらに情報交換もすると。しかし、これができる友好国はどの国かと。1国しかないのではないでしょうか。台湾と一緒に軍事訓練をしてくれる国はアメリカを除いて他にないわけですから。ですから、これはアメリカとこれから軍事訓練をやっていこう。あるいはその情報交換もしようと。さらに民間防衛もアメリカと一緒にやっていこうという意志表明です。2番目は経済安全保障ですね。彼は経済安全保障は国家安全保障と同義だと言っています。それはその通りなんですね。では、経済安全保障を構築するためにはどうすればよいかというと、彼が第1に提案しているのは貿易の多元化です。貿易の多元化とはどういう意味かというと、現在の台湾の貿易は大きく中国に依存していることは事実です。要は、輸出の約40%が中国向けですけ。ですから、貿易の多元化はこの中国への依存度を減らすことに繋ります。中国への依存度を下げれば、台湾にとっては経済安全保障につながるということです。

しかし問題はどこかということです。問題はやはり台湾が国際社会では取り残されているということですね。ほとんどの他の国との貿易協定を結んでいない現状です。10の小さな国とは貿易協定を結んでいますが、大国であるアメリカ、日本、EU、あるいはインド、ブラジルといった国々とは貿易協定を結んでいないわけですから。一番重要なのはやはりアメリカですね。アメリカですら協定を結んでくれなければ、他の国々も当然、中国の意向を気にして台湾との貿易協定を結べないでしょう。ですから、暗にアメリカにも協力を要請しているわけですね。つまり、貿易の多元化の第一歩はアメリカなんですね。アメリカの協力があって初めて中国への依存度を減らすことができるということですけれども。そして経済安全保障の2番目は何かというと、やはり台湾の国内産業をさらに新しい産業に育てていかなければならないということです。つまり、イノベーションですね。そのためには、従来の古い規制を撤廃し、規制緩和を行い、新しい産業の成長の余地を生み出さなければなりません。この点において、蔡英文政権は一貫して言ってきたことですし、選挙公約でもありますが、実現が非常に困難であることも理解しています。蔡英文政権が7年間を担当しても、規制緩和の面では進展があまり見られないという事実も、その困難さを裏付けるものですね。

そして3番目は、民主国家とのパートナー関係の構築です。台湾はこの目標を達成することが簡単ではないとわかっていますが、国際情勢が変動している中で、台湾は自らの主導権を発揮することができます。例えば、コロナ疫病の初期段階では、世界中の国々がマスクや医療機器の不足に悩んでいました。なぜなら、これらの製品のほとんどが中国で生産されていたためです。中国が輸出を停止すれば、他の国々も困ることになるわけです。その時、台湾は素早く生産ラインを立ち上げ、自国内だけでなく他国へも供給できる生産量を確保しました。その結果、台湾は「台湾は助けになる」というスローガンの元、日本やアメリカにも多くのマスクを提供しました。つまり、台湾はパートナーでなくても自ら進んで行動できる能力を持っているということです。

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