ブリンケン国務長官訪中でみる習近平の巨嬰外交

台湾

台湾ボイスの皆様、こんにちは。林建良です。現在外交の最大の話題はおそらくアメリカのブリンケン国務長官の中国訪問についてです。この訪問は最初から大きな成果を期待できないということで、アメリカ政府も期待値を下げるようにしていました。実際の結果はどうだったのでしょうか。話し合うテーマは非常に多くありました。しかし、テーマが多ければ多いほど、実際に成果が得られるわけではありません。外交は一つのテーマでも非常に難しいのに、たくさんのテーマを同時に話し合おうとすると、最初から成果を得る気持ちが持ちにくくなってしまいます。今回の米中会談では、台湾問題から北朝鮮問題、ウイグル問題、香港問題、チベット問題、南シナ海や東シナ海の問題、マクロ経済や気候変動、公衆衛生、食糧安全保障、中国での麻薬問題など、本当に多くのテーマが詰め込まれていました。大きなテーマから細かいテーマまで幅広く議論されることになるわけです。このように最初から多くのテーマを詰め込んだ会談では、双方とも成果を得たいという気持ちが十分にない場合もあります。そのため、この会談はアメリカでは評判が悪かったです。何のために行ったのか、成果がないのではないかという批判の声が多く上がっています。

しかし、僕に言わせれば、この会談は物凄く大きな成果がありました。とっても素晴らしい成果です。この会談は、確かに重要な成果を上げたと言えます。外交の世界では、習近平政権の外交スタイルは「戦狼外交」と表現されることがあります。これは、高圧的かつ攻撃的な態度で相手国を説得しようとする姿勢を指します。しかし、実際には「巨嬰外交」とも言われるべきであり、それは大きな赤ちゃんのような外交スタイルです。「巨嬰外交」とは、言いたくないことや気に入らないことがあると、すぐに泣きわめいたり、駄々をこねたりする現象を指します。中国の心理学者である武志紅氏は、彼の著書『巨嬰国』の中で、中国人は基本的に赤ちゃんのような存在であると主張しています。この本は2016年に出版され、一時は大ヒットしましたが、すぐに禁止されました。中国のよくやることです。

では、この今回のブリンケン長官の訪中では、どのようなことでこの巨嬰現象が見れるのか。なぜ僕はこれが習近平の巨嬰外交と言っているのか。一番最初からそうです。つまり、このブリンケン国務長官の訪問はできるだけ屈辱的な思いをさせるようにするということです。今回のブリンケン国務長官の訪中において、中国は特定の待遇を行わず、ある種のレッドラインを引きました。これは、中国が相手国を屈辱的な思いをさせることを意図した巨嬰外交の一例です。国務長官の訪問は普通、高位の役人やレッドカーペットを用意し、国の最高尊敬の表れとして待遇することが一般的ですが、中国の場合は異なりました。「巨嬰現象」とは、中国が相手国に圧力をかけ、自身を優位な立場に置こうとする外交手法を意味します。中国は相手国を屈辱的な思いをさせ、相手国を弱めることを目指しています。ただし、レッドカーペットの敷設や高位役人による出迎えは絶対ではありませんし、必須ではありません。中国の場合、代わりにレッドラインを引くなどの異なる待遇をすることもあります。これは外交の礼儀の中で基本的にはないことです。

では、レッドラインとはどういう意味かということですね。レッドラインとは、踏んではいけないということを指します。こちらから訪れる際には、事前に警告しておくのが一般的です。通常は国務長官が同等の役職である場合、中国であれば外交部長などが出迎えることになりますが、中国では意図的に北米局の局長が出迎えたのですね。これはある意味でかなり失礼な行為ですが、本来、中国のような大国がするべきではないことです。それでも敢えて屈辱的な思いをさせるようにしたのですね。この他にも、最初の日には中国の外交部長である秦剛と会談しましたが、最初は予定では4時間半でしたが、結局5時間半に延びました。さらに晩御飯の時間も挟んで、晩御飯は一応ワーキングディナーということで、宴会という意味ではなく、食事しながら話し合いを続ける形式で行われました。その間には3時間話し合いがありました。合計で7時間半ほど話し合ったことになります。もちろん、これだけたくさんのテーマがあるため、1つの項目ごとに時間がかかり、通訳も必要です。正式な会談では、英語で意思疎通ができても通訳が必ず入ります。それにしても、7時間半の会談時間の半分にしても、約4時間の会談を行ったことになりますね。これは非常に事務的な側面であり、それぞれ個別に問題はありません。

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