第20回共産党大会でわかるもの

台湾

藤井:それでは、Aの『第20回共産党大会でわかるもの』に入っていってもよろしいですか。

林:そうですね。第20回共産党大会の1番の意味とは何なのかということですが、当然ながら建前の意味と本当の意味、つまり本音は異なります。まずは本当の意味から入りたいと思いますが、習近平はもはや独裁者ではなくなったということです。

藤井:なるほど。

林:独裁者でないとすれば、彼は何者なのか。皆さんは「彼は独裁者じゃないか。ますます独裁政治になっているじゃないか」と考えているでしょう。それが一般的な見方だと思いますが、僕はそうではないと考えています。過去10年間、習近平は確かに独裁者だった。しかし第20回共産党大会を経た今、彼は独裁者ではなく、神様になったということです。

藤井:おー。

林:マルクス教の神様になったわけです。

藤井:マルクス主義、マルクス教の神様ですか。

林:そうです。

藤井:神格化されたわけだね。

林:まさに神格化です。彼は神様です。

藤井:マルクス、エンゲルス、レーニン、毛沢東というマルクス教の神の序列に習近平が加わったということですか。

林:そうです。彼は神様です。

藤井:なるほど。それは気づかなかった。

林:彼はもはや独裁者ではないんですよ。独裁者だとすれば、ロシアのプーチンや北朝鮮の金正恩と同格じゃないですか。なぜ神様なのかというと、これから彼は人類の将来の道を示すような役割を担っていくからです。第20回共産党大会の全72ページの要綱のなかで、そのように謳われています。人類運命共同体を構築するだけではなく、人類の将来の道を指導するために指針を出していくと書かれています。藤井さん、どんな人間が全人類の将来の指針を出せるのでしょうか。クリスチャンの僕に言わせれば、そんなことはイエス・キリスト様以外の人間にはあり得ないことですが、これからは彼が全人類の将来を一身に担っていくような存在になるということです。独裁者は、せいぜい自分の国だけでしょう。一方で彼の場合は全人類が対象です。全人類を指導する人物を独裁者と言ってもいいのでしょうか。

藤井:なるほど。

林:全人類に責任を持つということであれば、それはもう神様です。

藤井:そうですね。まさに救世主であり、神様のレベルですよね。習近平はもう人間じゃないんだよ。

林:彼は人間じゃないよ。だから共産党に関連する全機関に習近平の開会式での演説を強制的に視聴させています。例えば北京市内の小学生は1時間45分のつまらない演説を最初から最後まで見なければいけない。そして感想文を書かせられます。さらに聞いている様子の写真まで撮って、実際に聞いたという証拠を提出しなければいけない。これは学校だけではなく、病院をはじめ、警察や消防といった全機関のスタッフがやらされています。犯罪が起きたとか、火事が発生したとか、そういうことよりも、「習近平の演説を聞け」ということです。例えば病院で患者さんが死にそうだったとしましょう。そんなときでも医師は習近平の演説を優先しなければいけない。

藤井:緊急手術も中止ですね。

林:緊急手術もダメです。

藤井:みんなで神様の言葉を聞かなければいけないということですか。

林:そうです。神様と患者の手術、どちらのほうが大切ですか。答えは簡単でしょう。神様です。

藤井:神様のほうが大事なんだ。

林:ええ。さらに各地の村では村人は広場に集められ、デカいモニターに映し出された習近平の演説を聞かなければいけない。

藤井:なるほど。

林:この様子を見れば、彼が独裁者ではなく、神様だということが分かると思います。神様がお話しされているのに、その言葉を聞かないというのはとんでもないことじゃないですか。だから今回の第20回共産党大会は彼が独裁者から脱皮して、神様になるための一つの神聖な儀式という意味合いがあったということです。

藤井:なるほど。僕もそこまでは気づかなかった。

林:わははは。

藤井:よく分かりました。

林:第20回共産党大会には重要な仕事が三つあったと思います。一つ目は政治報告です。これは初日に習近平が1時間45分に及ぶ演説で報告していました。二つ目は人事です。中央委員205名と中央委員候補177名が選ばれました。こちらの370数名が中国共産党の権力者たちになります。

藤井:質問があるんですが、中央委員と中央委員候補というのはどのように違うんですか。例えば候補の人たちに投票権はありますか。

林:実は中央委員と候補は別々に選ばれます。

藤井:中央委員は中央委員、候補は候補というように、別々に選ばれているんですか。

林:そうです。要するに中央委員に選ばれなかった人間が候補になるのではなく、最初から別々に選出されます。

藤井:なるほど。

林:中央委員の人数は毎回違いますが、今回は205名が選ばれました。また中央委員候補に171名が選ばれています。中央委員と候補を合わせて400名前後になりますが、それが今回は376名だったということです。

藤井:はい。

林:例えば中央委員が任期途中で死亡や逮捕により失職した場合、中央委員候補が昇格するという仕組みになっています。

登録は簡単3ステップ
過去の配信動画が見放題
最新情報をお届け

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

月間ランキング

  1. 1

    秦剛解任の裏

  2. 2

    中国外交部の異変

  3. 3

    日経の大罪

  4. 4

    バイデン政権の対中ゾンビ外交

  5. 5

    「農管」・ヤクザ顔負けの中国農業警察

  6. 6

    安倍晋三のパンチ

  7. 7

    ワグナル反乱で震え上がる習近平

  8. 8

    台湾問題を国際化する習近平

  9. 9

    真実と嘘を織り交ぜたペテン師の手法

  10. 10

    大人の情報学

Taiwan Voice

Taiwan Voice

日米台研究所理事・林建良先生と国際政治学者・藤井厳喜先生による、台湾の視点から、最新の国際情勢を分析・解説した動画が届く会員制のサービスです。大手メディアが報じないため、実態の分からない中国情勢の分析を月1回、実例を上げながら分かりやすくお届けします。

最近の記事

  1. 秦剛解任の裏

  2. バイデン政権の対中ゾンビ外交

  3. 中国外交部の異変

TOP