「現状維持」は台湾人の多数意見なのか?

台湾

台湾の政治事情などを報道する日本のマスコミが結構多いと思います。しかしながら、日本のマスコミの報道は必ずしも台湾の真実を伝えているわけではありません。それは別に日本のマスコミが嘘の面ばかり使って伝えているのではなく、日本のマスコミには報道の限界があり、三つの弱点があります。一つ目は中国に気兼ねをしながら台湾の報道をしている点です。1番わかりやすいところは、日本の新聞社にしてもテレビ局にしても、台湾に置く場合は必ず台北支局という名目で置いています。台湾総局は存在しません。台湾は台北だけではありませんから、大きな都市だけでも台北市、新北市、桃園市、台中市、台南市、高雄市などがあります。台中支局というものは存在しておらず、台湾の全ての事は台北支局でカバーしているのです。これは物凄く親台湾的な産経新聞も同様です。つまり、産経、日経、朝日など全てが台北支局に置いています。総局は実は中国にあり、例えば、中国総局という局が置いてあるのです。それ以外にも上海支局や台北支局などがあり、台湾が中国の一部であるかのように印象付けられています。ある意味で日本のマスコミが中国の意向に沿って、そのようにしているわけです。支局の名前も、自分の会社の一部の名前でさえも、中国に押さえつけられているような形になっています。だから、その報道内容も中国に指導されないように気をつけなければいけません。中国に怒られないような記事であれば、台湾の事実を日本社会に伝えらないでしょう。ある意味で中国というフィルターを通して、日本人に台湾の事が伝えられています。これが1番目の理由であり、中国に気兼ねをしながら台湾の記事を書いている点です。

2番目は日本のマスコミが基本的に台湾の新聞やテレビを読んだり見たり、あるいは台湾の政府の発表を根拠にして記事を書いている点です。自分で取材する事は皆無とは言いませんが、基本的にはその中の一部であると言って良いでしょう。ほとんどの記事は台湾の新聞社やテレビ局の報道のコピーになっていることが2番目です。3番目が1番の原因ではないかと思っていて、台湾で暮らしている日本のマスコミの駐在員は、基本的に台湾語が話せない点です。彼らは北京語であれば、それなりに話す事ができます。ところが台湾人の場合は普段、北京語を使っていますが、本音は台湾語で喋っているのです。台湾語で会話できないからマスコミ関係者は、なかなか台湾人の本音を聞き出す事ができません。だから、日本に伝わっている台湾の現状や、実は台湾人はこうだったとか、全部とは言いませんが、間違った報道が多いです。例えば、台湾を専門とする日本人学者でさえも間違った見解を出しています。そして、日本のマスコミが専門家の言葉を根拠にして記事を書いている部分で間違っている点として言える事は、台湾の民意とは現状維持が大半だという点です。最近の日本のマスコミもそのように言っています。例えば、台湾に友好的な記事でさえも、そのような内容になっているのです。台湾人の現状維持とは、生活は現在のままでいいし、中国と一緒になりたくないけど、独立もしたくないと思われています。今のままとは台湾国ではなくて、中華民国(Republic of China)、いわゆる支那共和国のままでいいと思われているのです。我々は独立も統一もしたくないから、現在のままでいいという民意が圧倒的多数であると日本のマスコミや学者などが紹介しています。これは間違っている認識です。その根拠となる最近の世論調査を紹介します。

2023年の3月31日に正常国家文化基金会が発表した世論調査によると、国名も台湾(共和)国にして、新たに台湾のために憲法を作るという意味を含めて台湾独立したいと言っている人が54%くらいとなっており、過半数を超えているのです。そのような事をやると大変な事になるから現状維持したいと願っている台湾人は20%しかいません。一方で中国と統一したいと思っている台湾人が16%存在しています。この数字は国民党の支持者の中の一部であれば、大体そのようになるでしょう。なぜ日本の台湾を専門的に研究している学者でさえも、このような間違いを犯しているのかと言うと、実は日本の台湾研究の学者がよく使っているデータ(根拠)自体が、そもそも間違っているからです。日本の学者がよく使っているデータは台湾の政治大学による調査から拾ってきています。以前、台湾ボイスでも紹介したように、台湾人は決して台湾の政治大学を信用していません。全く同じ調査を別々の機関で出した結果はどうなるかというと、台湾民意基金会は2022年の3月8日に二つの大学の世論調査を同時に同基金会の名前で行ないました。設問は台湾大学をリーダーとして他に追加された二つの大学に出された質問と、政治大学がリードしている質問を同じ時期に世論調査をやったのです。質問の形が異なった世論調査で誘導質問というのは、よくあります。政治大学の設問調査によると、台湾独立を支持するのは28.1%という数字で2022年3月8日に発表されたものです。そして、現状維持は56.6%となっていて、この数字を日本のマスコミは根拠にしています。つまり、台湾人の殆どが現状維持をしたいと願っていて、中国と統一をしたいと思っているのは7.4%という数字です。ところが、同じ時期にやった台湾大学の設問によると、台湾独立を支持率は52.7%でした。随分と結果が異なる事に気づくでしょうし、28.1%と52.7%の差は約2倍となっていて歴然です。そして、現状維持を願っているのは16.9%で、中国統一は16%となっています。これは正常国家基金会の最近の調査に結果としては似ているのです。しかし、同じ時期に行なっても、ここまで数字が異なります。台湾民意基金会は従来から同じ調査やってきて、2006年以来から台湾は独立すべきという主張が1番多かったのです。つまり2006年以来、台湾は現状維持の方がいいと思っている方が多数ではなくなりました。台湾の民意の多数は現状維持だと言っている日本のマスコミの根拠は、政治大学の調査によるものです。

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