バイデン政権の対中ゾンビ外交

台湾

台湾ボイスの皆様、こんにちは、林建良でございます。

バイデン政権の中国政策の良い点と悪い点について、バイデン政権は非常に頑固な思考を持っており、話し合いをとにかく重視しています。ただし、時には話し合いのための話し合いになってしまい、単なる外交成果と勘違いされることもあります。最近はブリンケン国務長官、イエレン財務長官、ジョン・ケリー気候変動特使などが中国を訪問していますが、彼らの訪問の最大の成果は、実は何もなかったことをアメリカ国民に示したことです。つまり、このような話し合いは全く効果がないということです。アメリカ国民は彼らの連続した訪問によってそのことを認識したのです。そして、彼らがアメリカに持ち帰ったものは、中国で受けた屈辱的な経験でした。そのため、アメリカ人の反感も即座に湧き上がったのです。これについては既に台湾ボイスでも取り上げているので、繰り返しません。

そして、台湾ボイスで説明した最大の成果とは何でしょうか。実は最大の成果は、まず第一に話し合い外交が結果をもたらさなかったということです。第二には、屈辱的な経験をさせられたことです。これらの2点が最大の成果と言えるのは、これによってアメリカの反中国政策がより推進しやすくなったからです。その証拠はどこにあるでしょうか。その証拠は、直後に現れました。具体的には、2023年7月20日にアメリカ下院の「中国共産党と戦略的競争をする特別委員会」、通称中共委員会が公聴会を開きました。この公聴会の冒頭で、委員会の委員長であるマイク・ギャラガー氏が以下のように述べたのです。「私たちが40年間にわたって行ってきた外交努力や対話路線は結果をもたらさず、それにもかかわらず接触外交を続けるつもりです。だからこそ、どんなに素晴らしい政策があったとしても、結局、政府間のゾンビ・エンゲージメントの犠牲となる結果になってしまうのです」。

マイク・ギャラガー氏の表現は非常に文学的で、教養のある詩的な表現と言えます。彼はゾンビ・エンゲージメント(ゾンビのような接触外交)と呼ばれるものを批判しています。バイデン政権は発足後、さまざまな良い中国政策を実行しました。例えばウイグル人権問題への制裁などです。しかし、2月の気球事件以降、状況はおかしくなったと彼は言っています。実際、2月の気球事件は非常に大きな事件であり、アメリカにとっては非常に有益な取引材料になります。アメリカはこのカードを手に入れました。しかも、このカードは習近平政権からのプレゼントとも言えるようなカードです。しかし、バイデン政権はこのカードをまったく活用しませんでした。実際には、この気球事件は現在調査が行われており、様々な証拠物件が回収されました。その気球には、車何台分もの探索機器が詰め込まれており、そこから様々な情報が得られているはずです。しかし、調査結果は一切公表されませんでした。

さらに、疫病の調査結果は今度アメリカの国会で公表される予定ですが、バイデン政権による公表は中途半端なものになりました。結局、何の事実も公表されなかったのです。これは本来、いろんなチャンスを活用する絶好の機会でしたが、それが生かされなかったというわけです。さらに、政権の内部でも良い政策が作られているにも関わらず、それらの政策は政府内で閉じられ、無駄になったというのがマイク・ギャラガーの表現です。彼が言っているのは、このゾンビ・エンゲージメントです。長年にわたって行われてきた中国との接触政策は全く効果がなかったというのが彼の主張です。その証拠はこの公聴会の中にありました。公聴会には非常に有能な人々が招かれ、特にマイク・ギャラガーや他のアメリカの対中国政策に関与する重要な人物が呼ばれました。

これらの3人は一般的には有名ではありませんが、中国または台湾の関係研究者にはよく知られています。しかし、一般の人々からはあまり知られていません。それでも、これらの3人が実際にはアメリカの対中国政策のキーパーソンなのです。彼らは政策の立案者であり、執行者でもあります。3人とも副次官補です。実はアメリカでは、最高位の長官よりも副次官補の方が政策決定や政策の立案、執行においてより重要な役割を果たすことがあります。日本も同様で、大臣が最高位ですが、無知な大臣も多いのが実情です。事務次官も重要なポジションですが、日本の場合、政策決定や立案、執行において最も重要なポストは課長や課長補佐です。アメリカでは、それよりも上位の副次官補が重要です。この3人の選択肢ですが、まず1人目はエリー・ラトナーです。彼はアメリカ国防総省の国防副次官補で、インド太平洋担当です。そして、もう1人はダニエル・クリテンブリンクです。彼はアメリカ国務省の東アジア担当の次官補です。3人目はシア・ケンドラーです。彼女は商務省の中で最も小さな局であるBIS(企業安全保障)の担当者です。これらの3人が呼ばれたのです。彼らはバイデン政権において対中国政策において最も重要な3人であり、キーパーソンなのです。この3人の選任は、中国共産党がアメリカ政府内の情勢に精通していることを証明しています。加えて、これらの過去40年間の政策が効果を持たなかったことや、ゾンビのように変革がないことを示す証拠がどこにあるかも問われています。

最初に、マイク・ギャラガーがダニエル・クリテンブリンクに質問しました。ダニエル・クリテンブリンクは国務省の次官補です。ギャラガーは、「台湾問題を平和的に解決することが、アメリカと中国の関係の重要な基盤であり、それが正しい姿勢であると考えています。アメリカはこの姿勢や立場を変えたのでしょうか?」と尋ねました。クリテンブリンクは以下のように答えました。「アメリカは台湾問題を平和的に解決するという姿勢に一切変わりはありません。」その後、中共委員会の副委員長も質問しました。この副委員長は民主党の委員会のトップです。彼はマイク・ギャラガーと所属政党が異なりますが、連続して同様の質問をしました。クリテンブリンクは前の質問に対して、次のように述べました。「しかし、中国はこの姿勢を守っていません。台湾問題を平和的に解決すべきというのは、アメリカと中国が国交を樹立した当時からの約束ですが、中国はこの約束を守っていません。」これを受けて、民主党のトップであり、インド系の下院議員でもある議員は「この話を聞いて非常に驚きました」と述べました。つまり、アメリカと中国の関係には、外交の基礎となる3つのコミュニケがあります。その内容は、台湾問題を平和的に解決するということを含んでいます。

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