台湾周辺演習・自ら労力を水泡に帰する習近平

台湾

台湾ボイスの皆様こんにちは。林建良でございます。マッカーシーと蔡英文の会談は世界のビッグニュースとなりました。世界のほとんどの主要媒体はみんな取材していて、その後もいろいろな分析番組をやっていました。ケビン・マッカーシーだけでも、アメリカの非常に重要な媒体、フォックスニュースとかブルームバーグとか、もしくはNBCニュースとか、彼の単独インタビューだけでも少なくともこの3社のものがありました。それ以外にも、いろいろな参加した議員がマスコミのインタビューを受けて、みんな一斉にこの会談の成功を喜んでいるわけです。おそらくその中で一番喜んでいるのはケビン・マッカーシーではないかと思います。なぜなら彼は下院議長になるのに十何回もの選挙を経て、物凄く危うい下院議長と言える立場だった。要は立場の弱い下院議長でしたが、今回の会談によって一躍アメリカの政治の中心、話題の人物になったわけです。ですから彼にとってもこれは政治的にかなり有利になりました。しかし喜ばない人が1人いたんです。それは習近平です。習近平はおそらくカンカンでしょうね。どうしてそれがわかるかというと、実はその会談前から、中国は外交部にしても、台湾弁公室にしても、中国の大使館にしても、非常に強い口調でアメリカや台湾を批判していたわけです。もしこの会談が行なわれたら、必ず反撃すると。もう本当に反撃しなければいけないと言い切ったわけです。そして実際会談前に、参加する議員に恫喝しました。会談する前の会場には、中国はかなりの人間を動員して嫌がらせをしたわけです。さらにそれだけではなく、そこに応援しに来た台湾人を殴ったり蹴ったりしたわけです。もうまさに自分こそが野蛮な国だと証明しているような事態になったわけです。本来は、中国がもし台湾が自国の一部だと主張するなら、台湾の代表が外国に訪問しに行くということであれば、喜んでくれてもいいんじゃないですか? たとえばアメリカに行く場合は、中国からアメリカ政府に、「我が中国の一部である台湾の代表がそっちに行くからよろしく」ということで、丁重にもてなしてください、大切にしてください、と。本来はそうじゃないですか? 自分の子供が旅に出て、旅先にちょっと一言、お願いしますとか、うちの子がそちらに遊びに行くのだからよろしく、等一言言ってもいいんじゃないでしょうか。ところが、自分の子供が旅先に行って、外のヤクザを雇って殴ったり蹴ったりする。そんな親はいるでしょうか?だからこそ台湾はますます自分は中国の一部じゃないとわかるわけです。これを証明してくれたのは台湾ではなくて中国です。自分の一部であれば、それこそ大切にするわけですよね。自分の一部だと言いながら、蹴ったり踏んだりするということは、これは普通であればちょっと理にかないません。しかし理にかなわないことを、中国は中華人民共和国が成立してから70数年間ずっとやって来たんです。これは中国人は馬鹿というわけではありません。実は1人1人の中国人はけっこう優秀なんです。中国人は頭がいいんです。ただし、2人の中国人になるとどうでしょう。1プラス1は普通は日本人であれば、2とか3になります。3人であれば、1プラス1プラス1で、5とか10になる。日本人の場合、チームワークは物凄くよくできているわけです。しかし中国人の1プラス1は0なんです。そして3人になるとですね、1プラス1プラス1はマイナス1になるんです。世界は未だに中国人に呑み込まれていないのは中国人の民族性のためなんです。これは有難いことです。

では、中国はどのようにこの台湾に罰を与えようとするのか。これは実はケビン・マッカーシーと蔡英文の会談の4月5日のうちに、中国の海巡署(日本でいえば海上保安庁)が巡視艇を出して、台湾海峡の中部と北部でパトロールをすると発表しました。そのパトロールにはどういう意味があるかというと、台湾と中国の間のを通る貨物船を検査するということです。無理やり検査する。つまり台湾海峡は自国の一部であると主張したいわけです。これはかなりの嫌がらせですよね。台湾の貨物船は中国の海巡署、つまり海上保安庁の船が乗り込んで検査するということですから、これには台湾は当然反撥するわけです。それから4月7日になんと中国は制裁を発表しました。誰を制裁するか。台湾の駐米代表(大使に相当)である蕭美琴です。実は蕭美琴は中国の制裁を受けたのは2度目です。まったく同じ制裁です。最初の制裁は、台湾独立分子ということで受けました。そして今回も同じ理由で制裁をかけられました。中国の制裁というのは賞味期限が短いです。それだけではなく、蔡英文に賞をあげた責任者、それとケビン・マッカーシーと蔡英文の会談に場所を提供したレーガン大統領図書館の責任者をも制裁したわけです。ちょっと場所を提供するだけで制裁されるということは、本来なら理屈には合わないですけれども、本人が喜んでいるんです。蕭美琴も含めて、本人がみんな喜んでいるんです。なぜかというと、泥棒に制裁されるということはこれは名誉なことなんです。泥棒友の会会長だったら、それは不名誉ですけれども。泥棒に勲章を与えられたら、これは極めて不名誉なこと。しかし泥棒に制裁されるということは、みんな一同に「これはとっても名誉なこと」と言っているわけです。それだけではなく、さらに2つのシンクタンク、台湾のシンクタンクをも制裁しました。この程度で気が済んだと思いきや、そうではありません。今度は翌日の4月8日の午前早朝に、急に中国の東部戦区(一番台湾に近い、5大戦区の1つ)、要は台湾侵攻のための担当部署が突然軍事演習を実施するぞと発表しました。その軍事演習も中国から長距離のロケット弾の演習もあって、これは基本的には台湾に向ける演習ですけれども。それから台湾の北の方、南の方、東の方、台湾を1周する、包囲する演習。これは去年の8月の演習と同じように、台湾を1周する演習です。この演習は一応3日間の予定ですけれども、去年の8月の演習と似ています。去年の8月の演習も最初は3日間という予定でした。結果としては1週間くらいやったわけです。ミサイルも発射し、軍艦なども派遣してかなり大掛かりな演習をしていました。ナンシー・ペロシの台湾訪問の際に中国は怒って演習をしたんですけれども、これは世界のビッグニュースになり、ますます中国の凶暴さが分かるようになってきた。

では今回の演習と以前の演習はどう違うか。今回の演習は周りの予想、あるいはこの演習の4月8日の発表からすれば、やや規模が小さいのではないかという判断です。周りはみんなそう判断しています。しかし、今回の演習は去年の演習とどう違うかというと、1つ非常に意味の違う部分があります。どういう違う部分かというと、中国の第2隻目の空母、山東号です。山東号は実は台湾の東海岸からおおよそ200海里のところに存在します。これは去年の演習と違います。去年の演習は、台湾の東側に空母を出していませんでした。空母を出すのと出さないのではどう違うかというと、実は空母の中に艦載機、つまり戦闘機の殲15が積んであるわけです。だいたい30機ぐらいの艦載機を積んであるわけですけれど、そうなると西側からだけではなく、東側からも台湾を包囲するような形になるわけです。つまり軍事的には、今回は規模が小さいけれども、ある意味で空母を出したということは、威嚇の度合いが去年よりもレベルアップしたと考えていいと思います。しかも山東号は、今までこのバシー海峡、つまり第一列島線から出たことがありません。今までは、中国の空母の遼寧号、中国の1隻目の空母が台湾の東側に出たことがあります。しかし遼寧号はあくまでも訓練用の空母に過ぎません。作戦用ではく訓練のための空母。しかし山東号は今回初めてバシー海峡を通って、台湾の東側に入ったわけです。これはかなりの威嚇になるわけです。実戦できる空母が台湾の東海岸に出ているということは、より実戦に近いということになり、台湾にとってはその脅威が増すわけです。今回はそれだけではありません。1日目のその中国の軍機は、戦闘機だけでも71機が飛んできたんです。台湾の防空識別圏に入ってきました。そのうちの45機は台湾海峡の中間線を越えたんです。軍艦も実は9隻、中間線を越えました。実は去年の8月の軍事演習以来、中国の軍艦あるいは戦闘機は台湾海峡の中間線を越えることがもう日常化してきているわけです。だから今までのいわゆるこちらを越えないようにするという暗黙の了解はもう完全に破られました。これも当然台湾にとっては、それなりの脅威です。しかし、実は台湾人は去年の演習でほとんど慌てていませんでした。台湾人がパニックになったりすることは基本的にはほとんどなく、いたって冷静でした。世論調査でもほとんどの人間は、怖くないよ、大したことないよと答えているわけです。今回もおそらくそうでしょう。しかし今回の演習の前に、台湾政府が自制するように、我々は決して相手を挑発しないけれども、しかし我々もちゃんと自分の国を守るという意志表示をしました。それと同時に実はアメリカの国務省も、中国に自制するようにはっきりと伝えました。それだけではなく、我々には、この現状を守る実力も、そしてその資源、つまり武器もあると、ちゃんと言ったんです。アメリカの国務省だけではなく、国防総省もはっきりとそう言ったんです。これはある意味で、中国の脅威があるからこそ、蔡英文とケビン・マッカーシーが会談したわけです。しかもその会談の中でですね、台湾を守ることが重要だと、台湾のために自己防衛のための武器を供給することが重要だと、2人で、2時間の会談でそれを話し合ったんです。

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