政策提言で分かる米下院中共委員会の真剣さ

台湾

台湾ボイスの皆様、こんにちは。林建良でございます。台湾ボイスの中で、何度も強調したことが1つあります。それは「言葉が大切」ということです。なぜかというと、言葉には魂が宿っているわけです。ですから言葉の使用を制限されると、魂までも制限されてしまう可能性があります。だから「言葉狩り」という言葉があるのですけれども、この言葉狩りという行為自体が、人の魂を操る行為の1つであると思います。実は今年の1月2日に、アメリカの下院で、「中国共産党と戦略的に競争する特別委員会」を立ち上げました。台湾ボイスでも紹介したことがありますが、この委員会は名前がものすごく長いので略称されています。日本のマスコミでは、「中国委員会」もしくは「中国特別委員会」と略称しているわけです。つまり、「中国共産党と戦略的競争する委員会」の「中国共産党」の部分を「中国」と略称しているわけです。どうしても略称するのなら、本来は「中国委員会」もしくは「中国特別委員会」ではなくて、「中共委員会」もしくは「中共特別委員会」にすべきなのです。しかし日本のマスコミでは自己検閲という傾向があって、中国の嫌っている言葉はできるだけ使わないようにする。だから、「中共」という言葉はできるだけ避けるようにするわけです。しかし、これおかしいと思いませんか? 中国共産党を「中国」と略称するということ自体がおかしいのです。だって、日本共産党を「日本」と略称しますか? そうしないですよね。日本共産党はあくまでも日本共産党、もしくは「日共」と言ってもいいのですけども、日本共産党を「日本」と略称すれば、ほとんどの日本人が納得しないでしょう。しかしなぜか中国共産党を「中国」と略称することには、ほとんどの日本人が納得しているのです。このこと自体がおかしいのです。

これはさておき、この中共委員会は実は5月24日に1つの政策提言を採択したわけです。実はこの委員会は、非常に行動力のある委員会でもあるのです。委員長のマイク・ギャラガーは弱冠38歳で、ものすごく行動力のある人間です。彼は委員会を立ち上げて、この2月にすぐに台湾に訪問しに行ったわけです。中国共産党と競争するからには、やはり台湾がその最前線に立っているわけですから、台湾のことを理解しなければ、中国共産党と競争できませんよね。そして、蔡英文がアメリカでトランジットして、下院議長のケビン・マッカーシーと会談する際に、マイク・ギャラガーも同席していたわけです。つまりこの委員会立ち上げてから、少なくとも2回、蔡英文総統とかなり突っ込んだ会談をしたわけです。その結果としては、実はこの中共委員会は4月19日に国会でシミュレーション、中国が台湾へ侵略する場合のウォーゲーム、その戦争のシミュレーションを行ったわけです。これは異例で非常に画期的なことであり、すごくインパクトのある行動なのです。それを受けて、5月24日に政策提言を出したわけです。この政策提言は、日本のマスコミでも紹介しているのですけども、全部で10項目あります。どのような内容なのかというと、まず1番目、アメリカの遠距離打撃武器はかなり増産しなければいけない。これはこの中共委員会の1つの決意とも、覚悟とも言えます。遠距離打撃武器というのは主に遠距離のミサイルです。遠距離ミサイルには主に2つの目的があって、1つは中国のミサイルの届かない範囲の中、つまり安全なところで、中国の飛行機や軍艦、もしくは空母に打撃を与えることができるということです。もう1つの可能性は敵陣攻撃、敵基地攻撃です。つまり、中国の内部にある軍事基地もしくはミサイル基地とか軍事基地に攻撃する。これを増産すれば、つまり中国に変な動きさえあれば、事前に敵陣攻撃をするということです。

2番目の提言は、事前にアメリカの同盟国もしくはアメリカの友好国とは事前に連携して、万が一中国が台湾に軍事行動をやる際には、直ちに外交的もしくは経済的制裁を与える。つまり今のウクライナ戦争でのロシアに対する制裁と同じようにやるということです。しかし、ロシアに対する制裁というのは、事前にアメリカ1国だけではいろいろ考えたりして、警告もしました。しかし、事前に他の国々と連携して、もしこうなったらどのような国々が連携して制裁するかは、実はウクライナ戦争の前ではなくて、その後になってから初めてできたわけです。それでは抑止力にはならないのです。効果がないというわけではないのですが、できれば事前に示した方がより効果があって抑止力になるわけです。3番目の提言というのは、アメリカと台湾との合同軍事訓練を拡大すべきということです。台湾ボイスでも紹介しましたが、実はアメリカと台湾との合同軍事訓練は既にやっているわけです。例えば、今年中は200名以上のアメリカの軍人が台湾の中に入って、台湾軍と一緒に軍事訓練やっているわけです。さらに台湾の軍隊もアメリカに行って、大隊単位、1回数百名単位もしくは千人ぐらいでの軍事訓練を既にやっていることもあり、これからやるということもあるのです。しかしこれでは足りない。どこが足りないか。一番足りないところは、台湾の軍と米軍は1979年以来、一度たりとも共同軍事演習をやったことがありません。共同軍事演習をやらなければ、いざ戦争になった際に連携がものすごく難しくなります。だから共同軍事訓練は非常に重要なことです。例えば、米軍と日本の自衛隊はしょっちゅう共同軍事訓練をやっています。アメリカと韓国軍も、アメリカとフィリピンの軍も共同軍事訓練をやっています。しかし、肝心な台湾軍とはやってないのです。これはやはり軍事訓練そのものも拡大しなければいけません。プラス軍事演習も必要になるのではないか、これが3点目です。

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