習近平の威嚇演習・得るものと失うもの

中国

台湾ボイスの皆様、こんにちは。林建良でございます。

8月2日にアメリカのナンシー・ペロシ下院議長が台湾に訪問に行って、彼女が台湾から離れた後に中国は約束通り軍事演習をやってくれました。中国の今回の軍事演習は、まず8月4 日に短距離ミサイルのDF-15シリーズ11発を台湾の近辺に向けて発射しました。これは台湾側とアメリカ側の観測です。日本側の防衛省は一応全部で9発と発表していますが、それは事実の問題ではありません。これは日本側のミサイル発射の観測角度によって観測できないところもあるので、それと比べれば当然台湾とアメリカの方が距離も近いし、観測しやすいということもあって台湾側とアメリカ側の発表としては11発です。この11発のうち5発は日本の排他的経済水域に着水しました。これはまさに日本の主権への侵害でもあります。だから、日本政府と日本の防衛省はかなり強く中国に抗議したわけです けど、11発のうちに一説によると1発あるいは4発は、実は台湾の上空を超えたわけです。台湾の上空を超えたとはいえ、台湾の領空に入ったというわけではありませんでした。
つまり領空という概念で領土の上が全部領空ということではなく、大体100キロくらいの範囲で大気圏以内であれば、これは領空にと言えます。しかし、大気圏を超えると領空ではなくなるのです。例えば、各国の衛星は数多く飛んでいますが、それは領空を侵犯したということにはなりません。台湾の上空を超えたけど、台湾側の警報も鳴らしていないし別に台湾人がパニックになったということもないです。

そして、8月5日に中国は全部で合わせて軍機68基で嫌がらせに来ました。68基のうち20基は海峡の中間線を越えたのです。今まで台湾と中国の間に台湾海峡を挟んで中央に1本 のラインがあって、お互いに越えないようにする暗黙の了解があったわけですけど、最近の中国は中間線の存在を認めないと言っています。その中間線を今回は短期間に20基だけ少し越えて、中国側に引き込みました。軍艦は全部で13隻で、そのうちの10隻が越えて台湾側からの警告を受けて、また向こう側に戻っています。一応中間線を無視するという実績を作ったということも事実です。今回の中国の軍事演習の狙いとは何か?中国はこの軍事演習によって、その目的を達成したのか、あるいは軍事演習によって何か成果があったのかというところを話します。

実は中国の軍事練習の最大な目的としては、対外的ではなく対内的です。まず、この認識をしなければいけません。中国人にとって何が1番大切なのかと言ったら自分と自分の一族です。それから自分の所属した小さなグループ、自分が所属した組織、国民のことは一切考えていないというのが普通なのです。習近平にとっては、自分が3期目も就任できるかどうかということが一番の関心事です。今回の演習のどこが大切かというと、彼の3期目に向けての一つの布石であり、一つの実績作りということが大切です。
あらゆる軍事専門家の話を聞いてみると、今回の演習はナンシー・ペロシが台湾に訪問しに行くということで習近平が癇癪を起こして「火をつけろ!」ということになったのです。蓋を開けてみると8月4日から7日で演習は全部で4日間です。しかし、この演習を見ていると決して短期間で計画できたものではありません。それなりの規模の演習です。ある表現にすれば1996年のミサイル演習以来の大きな演習ですので、この演習は事前に計画していたと思った方がいいと思います。事前に計画していて、ナンシー・ペロシが良いタイミングで一つの口実になって、これに合わせて演習をしたというだけです。だからこそ、彼女の台湾訪問は物凄くトーンを上げて厳しく批判しています。軍の方も座視しないとか、必ず強い措置を取るとか、飛行機を撃ち落とせとか、周りで保護するアメリカの空母を全て殲滅するとか、非常に勇ましいことを言ったのは、ある意味で中国人全体のナショナリズムを煽ったのです。あえて煽ったと考えた方が正しいと思います。なぜ煽る必要があるのかと言えば、周りから見れば、こんな愚かなことを何故やるのかと、どう見ても賢明ではないやり方です。

しかし、習近平にとっては第1にも第2にも第3にも自分の3期目のことしかありません。なぜ3期目の事と、この軍事演習と関連があるかと言うと、実際習近平のこの10年間、はっきり言って全然実績はないと言えるのです。今まで非常に経済がよく発展していたのですが、彼になってから経済がどんどん悪くなる一方だと言えます。洗脳外交をやって至る所に敵を作っているわけです。一帯一路で海外にインフラ投資をやろうとして、どんどん金を注ぎ込んでしまっています。ひいては、遠慮される国から感謝されないで、逆に恨まれているということです。だから習近平のこの10年間に一体何の実績があるかと、しかも1番最後の1年においてはゼロコロナ対策をやったり、IT産業を潰したりして、企業とも喧嘩して潰したりして、銀行の資金不足や不動産暴落ということで、良いこと一つもないです。

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