「以徳報怨」蒋介石神話の弊害

台湾

台湾ボイスの皆様こんにちは、林建良でございます。
日本人のいいところは、できるだけ人の悪いことを見ないようにするところです。そして、できるだけ人の良いところを評価して、相手に恩があれば、できるだけ恩返しをするというのは、日本人の非常に良いところをではないかと思います。一台湾人から見れば日本全体で悪いことをする人がいないわけではありませんが、他の国と比べれば全体的に善良な社会と言えるでしょう。しかし、これは100%良いかと言えば、実はそうでもない部分もあるかもしれません。一つは蒋介石に対する評価が本来は日本人の美徳ではあるのですが、実は裏目に出ている部分はかなりあるのではないかと思います。日本での蒋介石神話と言えることを一言で表現すれば以徳報怨神話です。つまり、徳を以って恨みに報いるという意味になります。蒋介石はものすごく心が広くて偉い人間で、要は日本人からすれば神様のような人間です。だから、これは我が同志であった宗像隆幸の表現にすれば、本来は夜叉であるとされています。しかし、夜叉を菩薩と見ているということになるのです。この以徳報怨の背後に何があるのでしょうか。なぜ日本人が未だに蒋介石の恩を忘れないようにしているのかと言いますと、実は日本の至るところに碑があります。そして、蒋介石を祀る神社まで建てられているのです。蒋介石を正見するイベントも実は日本の至るところで行なわれます。時々、保守派の政治家と会うときに、相手はリップサービスのつもりで台湾人の僕の前で蒋介石を褒め称えるのです。要は蒋介石を褒め称えると台湾人である僕が喜ぶものではないかということで、わざと僕の前で「蒋介石が偉い人間で心が広く、我々は蒋介石の恩義を決して忘れることはない。今日の日本があるのは蒋介石がいたからこそである」そこまで言う日本の現役保守派の政治家が何人もいます。そのときに僕が「蒋介石は我々台湾人の仇です」と言った瞬間に、その場がしらけてしまうのです。

この蒋介石神話は一体どのような話が存在しているのか、なぜ「以徳報怨」という神話が1人歩きになってしまっているのか、もちろんその背後に国民党の宣伝が関わっています。国民党は戦いが上手ではありませんが、政治もはっきり言って下手ですが、宣伝だけは上手です。今の共産党もそうですけど、なぜ宣伝が上手なのかというと中国人は嘘つきの天才ですから、嘘なのに真実であるかのように信じ込ませるという能力を持っているからだと言えます。日本人が国民党の嘘、蒋介石の嘘、中国人のついた嘘、真実であるかのように信じ込んでしまったっていうのが実は4点あるのです。1点目は日本人の多くは戦後もし蒋介石がいなければ日本は崩壊してしまうとか、北海道の北の半分はソ連に占拠されてしまうとか、蒋介石がいたからこそ、そういうことがなくなったと言われている神話です。2点目は蒋介石が日本の天皇制を守ってくれたのだから、もし彼がいなかったら今の天皇制はなくなってしまっていたと、これは大変なことになると言われている神話になります。3点目は当時中国にいた支那派遣軍は全部で100万人くらい存在しました。その家族を合わせると200万近くの日本人が中国大陸にいたわけですが、その日本人たちが無事日本に送還してくれたということです。一方でソ連は何十万人の日本人を抑留して非常に残酷な労働をやらせて凍死や餓死する人も沢山いました。それと比べれば蒋介石はちゃんと日本人を日本国内に送り届けたから感謝すべきだと思っているのです。4点目、1番強調されている話で、蒋介石は戦争賠償を自ら放棄したから、戦争で大きな被害を受けたけれども請求しなくていいということで寛大すぎるという印象ができたことによって日本人がものすごく感激しました。しかし「以徳報怨」という言葉は、そもそも蒋介石の口から出た言葉ではありません。この言葉が出てきた理由としては、8月15日いわゆる戦争で日本が降伏した日に蒋介石は重慶に移っていて、そこでラジオ放送による演説をしています。そのときに蒋介石は「日本軍に報復しないでください」と強調して中国人に呼びかけました。要するに戦争は終わったから報復するフェーズではないと言ったのです。これを聞いて蒋介石は、どうしてここまで良い人なのかと思われるのですが、日本軍を日本に送り届けたということは事実です。しかし、その理由は8月15日の放送の時間が実は1時間後に天皇陛下の録音放送がありました。当時中国に残った日本軍が100万人程度いたのですが、中国で戦ってきた日本軍は蒋介石の軍隊に殆ど負けたことはなかったのです。要は負け戦ではありません。

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