台湾政策法の経緯と影響

台湾

A:藤井厳喜様
B:林建良様

A:それでは今日の最終セクションのDセクション「台湾政策法の経緯と影響」で行きたいと思います。台湾政策法が出てくるまでの経緯と影響について解説をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

B:まず影響の面からお話をしたいと思います。現在はあくまでも、まだ法案に過ぎません。上院の外交委員会で可決した後のステップとしては、上院の総会で可決して、更に下院でも同じような法案が完全に可決して、最終的には上院と下院を合わせて1本の法律にして再度可決して、最終的にはバイデン大統領に署名してもらって初めて法律になるのです。今は第1関門を通ったに過ぎず、まだいくつかの道のりがあるわけですけども、今回の会議は残り時間が非常に少なくなっています。今回の会議は、22021年1月3日から2023年1月3日までなっていて、後の期日までにこの法案が成立しなければ廃案になってしまうのです。廃案になると最初からやり直さないといけませんが、その前にまずこの法案の効果はまだ法律になっていないときに、もし法律になってからの効果に関して話をしてみたいと思います。法案の効果は四つあると思います。この台湾政策法という法案は、既に世界的ニュースになっているのです。ほぼ世界のどの国の安全保障の専門家でも、この法案に対して非常に注目しています。世界のどんな媒体でも報道しているわけですけど、特に中国専門家あるいは台湾専門家であれば、台湾の場合は連日のようにこれを討論しているのです。第1番目の効果としては法案の段階で既にある効果として警鐘を鳴らす効果があります。つまり、こういう手があるとか、こうしなければならないとか、こうしないと間に合わないとか、このような警鐘を鳴らす効果があるのです。2番目の効果としては、あくまでもアメリカの法案ですけど、しかし、外国のお手本になります。先ほど藤井さんもおっしゃったように、日本にもこのような法律が必要じゃないかということで、おそらく世界中の安全保障または軍事の専門家は世界のどの国でも中国の脅威にさらされているわけですから、中国の今の影響力は世界レベルであって、必ずしも東アジアだけではありません。中国と対峙していくために、どのような法律や手法、物を準備しないといけないのか、この法案がかなり細かく、この中に記されています。法案そのものは対中国対策のテキストになるわけですから、この全ての外国にとってお手本になるし、かなり参考になるのです。3番目は恐らく今までのアメリカ人は、この法案ができるまで台湾がアメリカで受けた差別は、全く知られなかったと思います。だから3番目の効果としては台湾の差別される現状が浮き彫りになるということです。例えば、この法案の中には台湾の国旗掲揚の許可、台湾軍の人間も制服着用の許可、台湾の政府関係者とアメリカの政府関係者に接触許可、台湾の差別禁止という法案が出ます。だから、恐らく初めて見た人間は今まで台湾の国旗がアメリカで掲揚してはいけなかったとか、台湾の軍人が軍服を着たら駄目なのとか、台湾の政府関係者がアメリカの政府関係者と接触してはいけないことを知らなかった人が多いと思います。

この法案を討論することによって、これからこういう差別を一切禁止するということを言われたから、初めてこういう差別があったということを知る人間がいっぱいいるわけです。実は同じような台湾政府に対する差別が日本にもあります。だから、台湾はかなり長い間、差別を受けてきたのですけれども、その差別はアメリカのためにはなりません。台湾がアメリカによって守られているというより、台湾もアメリカを守っているということです。台湾も日本を守っているということになります。これほど大切なパートナーを差別することによって、いろんな話や連携ができなくなってしまうのではないでしょうか。だから、この差別は決してアメリカのためにはなりません。だからこそ、この政策を任せられた政治家は、決してこの法案が台湾のためになるけど、アメリカにとってはデメリットばかりになる内容で絶対に作りません。アメリカの政治家は、なぜ台湾を差別してはいけないかということを考えて、つまり台湾を差別することによって、アメリカの国益が損なわれているということなのです。台湾を差別してはいけないということは、単に台湾を守ろうとか道場するという意味ではありません。政治の世界はある意味で非常に冷酷ですから、同情とか一方的な行為というのはあり得ないわけです。それは絶対アメリカのためにもなるからこそ、こういう差別を撤廃したいわけですから、その意味で台湾への差別は台湾対策法案ができるまで、知っている人は少ないと思います。そうすると、この法案ができることによって、恐らく全世界も同じように自分の国も台湾を差別しているわけですから、台湾を差別するということは果たして自分の国益に適っているかどうか、もう一度検討しないといけないということが3番目です。

4番目は、この法案が台湾にとってはかなりの励ましになっています。台湾は孤独ではなく、一緒に戦ってくれるパートナーがいると、台湾の同盟国と認めている国が存在すると、しかもそれは世界一強い国であるアメリカということです。これは孤独感がなければ、それこそ戦う意志も強くなってきます。台湾を台湾への励ましになるということは、全世界の利益になるのです。もし台湾が戦わず、いち早く降参するようなことであれば、アメリカがいくら台湾を守ろうとしても今度は台湾がアメリカあるいは日本を攻撃する武器になってしまいます。台湾が武器になれば、非常に怖い存在になりますから、台湾を現在の状況で台湾自身も自分の防衛のために戦う勇気を与えるということは非常に大切です。これはウクライナも同様ですが、全世界がウクライナを見捨てるのであれば、ウクライナも戦えません。なぜウクライナがここまで戦えたかというと、背後にアメリカやNATO、ヨーロッパの支持など、いろんな国々の支持があったからこそ戦えているのです。それは同じことで小国がなぜ大国と戦うことができるかというと、やはり背後にいろんな励ましや応援が必要になります。心配するな、いざというときに我々は後ろについているということがあると、台湾も一生懸命戦えますから、ひいては全世界の利益になるのです。このことは、実は法案が法律になる前に、既にできている効果だと言えます。今、台湾は、かなり励まされているわけですから、この四つの効果が現在、法案の段階で既にできているのです。

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