米中首脳会談でみる台湾の将来

台湾

台湾ボイスの皆様こんにちは、林建良でございます。
11月14日にアメリカのバイデン大統領と中国の習近平がインドネシアのバリ島で初めての対面会談を行ないました。今まではバイデン大統領と習近平は5回ほどの電話会談やオンラン会談を行なってきましたが、対面会談は今回が初めてです。この会談は一言で表現する場合は「文明と山との会談」と言ってもいいと思います。なぜそこまで極端なことを言うのかと、中国のことになると、いつも過激な発言をするという批判は受けそうですけが、この「文明と山との会談」という表現が妥当とするかどうか、一つのワンシーンだけで皆さんに説明したいと思います。中国第20回共産党大会において、みんなの頭に焼きついているワンシーンは前国家主席である胡錦濤を無理やり会場からつまみ出した場面です。これはとても文明とは言えないでしょう。あれは極めて野番な行為ですけど、今回は流石に習近平がバイテン大統領を会場からつまみ出すということはしませんでした。ところが、この首脳会談の場合は大体、最初の1部分だけ公開されます。その1部分というのは外交辞令的なことを言ったり、新聞記者から写真を撮られたりするというワンシーンです。その公開的写真会と言ってもいいのですが、それが終わって新聞記者に退場してもらって、その後に非公開的会談が始まります。その瞬間にアメリカのABCニュースの女性記者が、突然声を上げてバイデン大統領に「大統領、習近平国家主席に人権問題を提起するのか?」と突然質問しました。これは台湾でも日本でも、あるいは民主国家であれば自然のことですけど、ところがその瞬間に中国の中の政府関係者は女性記者のバッグを引っ張って無理やり外へ押し出そうとしたのです。そのときにアメリカのホワイトハウスのスタッフも会場にいました。2人のホワイトハウスのスタッフが、それを阻止したのです。そして「新聞記者の発言に干渉すべきではない」と明確に中国の政府関係者に言いました。これは非常に象徴的なワンシーンと言っていいでしょう。まさに文明とは何か?野番とは何か?このワンシーンで非常に明らかになったのです。

首脳会談というのは色々なレベル・重要性があります。今回の首脳会談はどのようなときに開かれたかというとG20に合わせてやったわけです。このG20はインドネシアのバリ島で行なわれたのですが、その前に実はカンボジアのプノンペンでASEAN会議もありました。さらに、インドネシアのG20会議の後はタイでAPECという会議も控えているのです。つまり、この三つの会議が続けて連続してやるということですけど、いずれもアジアでやっているのです。それに合わせての首脳会談ということになります。この首脳会談が非常に重要と思えば、別の会議に合わせてやるというより、この首脳会談のためだけやるということです。もちろん1番重要と思われるのは、例えば、アメリカの大統領が中国に訪問しに行く、あるいは中国の国家主席がアメリカへ訪問しに行く国税訪問です。訪問して会談しても、その後に共同声明があるかどうか、共同声明があれば、お互いに文章の作成とか、どのような文言を入れるとか事前に合わせて、お互いに合意した上で、共同声明を出します。その方が、より会談の重みが増すということです。例えば、それだけのための会談と合わせて共同声明があって、さらに共同記者会見もあるということで、両方一緒に記者会見に出てやると、こっちが言ったとか、言わなかったとかの水かけ論がなくなります。その前に当事者も一緒に公開的の場で、皆さんに説明するということです。ところが今回の会談は、別の会議に合わせてついでにやった会談でした。要するに重要度を極めて低くしようとした会談だったというのが1番目です。

2番目は最初から共同声明を出さなかったということになります。共同声明を出す場合も署名するかどうかは、また別の話です。共同声明を出して、署名しない場合もあります。署名した方が、もちろん重みがあるのですが、共同生命すら出さないし、共同記者会見もないということで、その後は自分にとって有利な分だけを発表する会談でした。もちろん、首脳会談という極めて重要な会談の前に決して会談前に何もしないで、いきなり今日はこういう会議をすることは、絶対にあり得ません。重要な会談の場合、基本的には事前に合意できる部分はかなり時間をかけて、お互いにスタッフたちが作業しています。こちらの言いたい話をしたいテーマと、向こうの話をしたいテーマを、まずすり合わせます。一方ではこれを話したい、こっちの方の話しはしたくないと言えば成立しないわけですから、お互いに話をしてもいいという内容を出して、この話はどこまで合意するのかと、1番うまくいく会談としては事前作業として、全て合意して、首脳会談の場合はただのセレモニーとして、さっさと終わらせてしまうというのもよくあります。しかし、今回の会談は、おそらく事前の作業でお互いに合意できない部分がいっぱいあって結局3時間以上かかったのです。この首脳会談というのは、最初から何時から何時までという設定は今回はせずに、何時からというのは決めていましたが、何時に終わるということは、設定されていません。この時間が長ければ長いほど、中でいろんな応酬があったと判断してもいいのです。もしくは極めて短い場合も、それは最初から椅子を蹴って喧嘩別れになる場合もあるのですが、今回の3時間を超えた会談というのは、いろんな激しい応酬があったと判断していいと思います。

実際、この会談の前から お互いに激しい応酬がすでにあったのです。いろんなパンチを食らわせてやろうということはあったのですが、例えば、習近平(中国)側からどんなパンチをしたかというと、実は8月 4日からの軍事演習によって台湾に対する嫌がらせ、軍事的恫喝、それがある意味で中国からアメリカへの会談のために作られたカードと言っても良いでしょう。中国は自ら交渉のカードを作るのはものすごくうまいです。これは中国からアメリカと交渉して、アメリカがやめなさいというのであれば、その代わりにお前もこれを譲歩しなさいという1枚のカードなのです。さらに会談の直前に習近平は第20回共産党大会の後に、迷彩服で中国の連合式本部に視察しました。これは、ある意味で極めて交戦的な姿勢です。通常軍服を着るということは、別に国家の指導者として珍しくはないですけど、迷彩服を着るということは、ある意味で軍事演習とか実際前線に行って、作戦中あるいは演習中の軍隊を視察するのであれば、それは理解ができます。しかし、一つの式本部へ視察しに行くだけで、わざと迷彩服を着て周りの軍事委員会の人間が合わせて全部7名いますが、全員迷彩服を着ていました。「これから戦争だ」という威嚇だと言えます。これも1枚のカードなのです。「これから絶対台湾に手を出すぞ」ということで、アメリカが怯んでしまえば中国の勝ちですが、アメリカは何もしないで単に中国の威嚇を単に見ているだけなのか、それはそうではありません。1番強いパンチが、実はナンシー・ペロシ議長が台湾訪問を経てアメリカに戻って8月9日に成立したCHIPS and Scienceという半導体法案です。これは明らかに中国の半導体産業を潰す1本の法案と言って良いでしょう。非常に威力の強い法案ですが、そのあとはバイデン大統領からのアメリカ政府の行政命令で中国への半導体を生産する機械とか、あるいは人材とか技術とか中国に渡らないように禁止しました。この二つは極めて強いパンチです。さらに、その前に バイデン大統領が11月9日の明確に今回の会談のために開かれた記者会見で、そのときにも強いパンチをお見舞いしようとしています。

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