中国亡霊に憑りつかれた馬英九

台湾

台湾ボイスの皆様こんにちは。林建良でございます。3月27日から4月7日まで、台湾の馬英九前総統が中国へ訪問しに行きました。これはそれなりに国際的にニュースになりました。なぜかというと、初めて台湾人に選ばれた総統、最高指導者が中国を訪問するのは初めてだからです。そして台湾のマスコミでは、馬英九の中国訪問をこのように表現しています。双英対決。双英の1つの英は馬英九の英。もう1つの英は蔡英文の英です。つまりこれは蔡英文と馬英九の対決だと表現しているわけです。日本のマスコミもこの言葉を紹介していますが、これは果たして双英対決なのかと、僕はちょっと疑問を持っているわけです。なぜならこれは蔡英文の外遊が決まってから、馬英九は急遽中国を訪問しに行くと決めたわけです。それは明らかに蔡英文の外遊、つまり蔡英文の外遊の一番の目玉はアメリカでのトランジットです。アメリカでのトランジットではケビン・マッカーシーとの会談が一番の目玉ですけれども、馬英九がおそらく中国と相談して、蔡英文と同じ時期に中国訪問をぶつけたわけです。ある意味で蔡英文の外遊の注目度をできるだけ下げようとしたわけです。そもそも馬英九は今年の7月か8月に中国を訪問する予定でした。なぜ7月か8月かというと、彼は大学生を連れてて訪問しに行くつもりで、大学生には夏休みのほうが一番都合がいいわけです。しかし蔡英文の外遊の時期にわざわざぶつけるために、この訪問を早くしたわけです。実はこれは蔡英文の外遊に対する嫌がらせです。蔡英文総統の外遊というのは台湾のための外遊ですけれども、馬英九の訪中は台湾への嫌がらせの旅と解釈してもいいんでしょう。

しかしこの馬英九の訪中の日程を見ていると3つの要素が浮かび上がります。どういう要素かというと、1つは反日。もう1つは媚中。もう1つは売国です。彼の日程の名目としては先祖供養ですけれど、先祖供養であれば12日間も訪問する必要はありません。先祖供養であれば、せいぜい3日くらいあれば十分じゃないでしょうか。この12日のスケジュールを見ていると、最初は上海に行って、南京に行って、武漢に行って、それから長沙に行って、重慶に行って、また上海に戻る。この旅は、みんないわゆる日中戦争ゆかりの地です。日中戦争というのは日本の表現です、中国では抗日戦争といいます。抗日、抵抗の抗です。これは明らかに1つの認知作戦です。台湾人は実は反日だということです。日本と台湾の間の離間作戦、分断作戦。これはまさに日経の連載と同じです。時期を考えると、ほぼ一連の認知作戦です。認知作戦は本物の戦争の前にやることですけれども、ある意味で中国からすれば、威嚇。これから戦争をするぞという前に、認知作戦をまずやってくるんです。媚中というのは日経の連載と同じように、台湾人は実は中国人が大好きだよ、台湾人は自分を中国人と認めているよと。馬英九は中国に行ったら、冒頭で「私も中国人だ」と。「(台湾)海峡両岸はみんな中国人だ」と。「我々は中華振興、つまり中華民族の偉大なる復興に尽力すべきだ」。これはもう習近平の主張とまったく同じです。そして売国。台湾を中国に売り出すということなんです。彼は上海に行って、次は南京に行ったんですけれども、南京で真っ先に見学に行ったのは、この3か所です。1つは中華民国総統府。中華民国総統府、それはいいんじゃないですか、中華民国を主張するために行った。しかし中華民国総統府は、中国にとってはあくまでも歴史遺産です。つまり中華民国はもう死んだ。入口のところにちゃんと石碑があります。その石碑とは何か。「1912年から1949年まで」ということです。つまり人間のいついつ生まれて、いついつ死亡するという意味なんですけれども。中国にしてみれば、中華民国は1949年に既に死んでしまったんです。死んでしまったものを馬英九は供養しに行くだけなんです。まさにその訪問自体が、中華民国は1949年に死んだということです。僕はこれには異論はありません。僕も賛成です。台湾ではまだ看板を掲げているんですけれども、中華民国は実際にはもう死んだ。それから孫文の墓参りをするんですね。それはそれでいいんですけれども、同時に彼はなんと南京大虐殺記念館を訪問しました。その南京大虐殺記念館はまさに反日の象徴です。彼はいわゆる南京大虐殺記念館で何を言ったかというと、「これは自分は1人の中国人として、この海峡のどちら側でも」、海峡のどちら側でも、つまり台湾人も中国人という意味ですね。「これは外部からの抑圧、外部からのいじめに絶対に勇敢に抵抗しなければいけない。そしてその事実を知らせなければいけない」外部からの抑圧とは何かと。つまり日本です。日本という言葉を出していないけれども、暗に日本と言っているわけです。さらに彼はいわゆる南京大虐殺、これは全部嘘なんですけれども、残念ながら日本政府はこの嘘を暴いたこともなければ、このいわゆる南京大虐殺は日本政府は黙認しているのはとても残念なんです。彼はそう言ったんですね。「これは人類の歴史の中で例を見ない野獣のような行為、そして中国人は最大の被害者なんだ」と。そして「この歴史は絶対忘れてはいけない」と、彼は書きました。「この歴史は絶対忘れてはいけない」と書いた。なのに、彼は台湾の228事件については、「我々はこの歴史を忘れるべきだ。未来志向であるべきだ」と昔の歴史は早く忘れなさいといった。加害者の立場になると、もう早く忘れなさい。被害者の立場になると、もう忘れてはいけないと。これはまさに中国人らしいご都合主義なんですけれども、これでも分かるように、彼はいかに反日であるか。もちろん南京大虐殺記念館だけではなく、行く先々で抗日戦争の歴史的な場所だとか、彼はわざと日本が中国を侵略した歴史は絶対忘れてはいかんと。彼は根っこからの反日主義者なんですけれども。

しかしこの馬英九の中国訪問は、当然中国がアレンジしたんですけれども、果たして中国人が、馬英九を歓迎しているのか。実はそうではないです。中国政府も裏で牽制しているんです。なぜそれがわかるかというと、実は馬英九の中国訪問を発表した直後に中国のネットメディアの観察者網が3月23日にある記事を発表しました。「馬英九は何者?」馬英九は何者。そのときは馬英九のことは、なぜ出世したかというと、もともと学生時代にはスパイ行為をやって、こいつは台湾独立思想があるよと、いろいろな人間を密告して、国民党政権に注目されました。心が狭くて、嫉妬心が強くて、そして恩知らずだと。というふうに中国人が書きました。中国のネット検閲は厳しいですから、馬英九の訪中というのが決まってから、文章が出ているというのは、中国政府が容認しなければ、本来はあり得ないわけです。そしてネット上では馬英九のことをどう呼んでいるかというと、馬娘娘(マーニャンニャン)です。娘娘とは何か。娘娘とはご婦人のことです。つまり「女のような男」という表現。これは中国では極めて強い侮蔑語です。娘娘というのはご婦人ならまだいいのですけれども、あるいは妾の意味。馬というのは所詮中国の妾でしょ?と。もっとひどい言葉は、馬英九というのは所詮乞食でしょ?と。これは金を恵んでほしいからやって来たんじゃないですか?そして彼は28名の大学生、さらに側近を連れて、自分の兄弟、兄弟といっても女兄弟ばかりなんで、3人のお姉さんと1人の妹を連れていました。この費用は誰が出しているの?と中国のネット上ではそればかりです。馬英九を評価する声はほとんどないわけです。それぐらい馬英九は中国人に歓迎されていません。もちろん彼の中国訪問中、街中での馬英九こんにちはとかはみんな演出です。街の中でお散歩する、周りの人間も握手を求めてくる。それも全部役者です。

では彼が中国でどのようなことを言って台湾にマイナスになったのか。あるいはどのように中国に媚びを売ったかというと、一番の極めつけは、彼が3月29日に武漢に行った時です。武漢といえば武漢コロナの発祥地です。その武漢コロナの発祥地には武漢コロナの防疫資料館があります。つまり我々はこの疫病からどうやって勝利を勝ち取ったとか、偉大なる習近平の指導のもとで武漢コロナから勝利を勝ち取った。彼はその場で何を言ったかというと「この中国の疫病は非常に早い段階でよくコントロールした。だからそれによって大幅に中国のみならず、世界に拡散しなかった」と。これは、中国のみならず全世界に対してもかなりの貢献、人類への貢献だと。だから全人類は中国に感謝しなければいけないということ。冗談じゃないですよね。この中国の武漢コロナがなければ犠牲はなかった。その武漢コロナもおそらく武漢ウイルス研究所から流出したと思うんですけれども。それによって7億人の人間が感染して、700万人が犠牲になったわけです。そして全人類への貢献だと。全人類への貢献とは700万人を殺してしまったということです。これはヒットラーよりもひどい奴です。しかしこれは全人類への貢献、我々は中国に感謝しなければいけないということ。これはおそらく馬英九という人間は、恥知らずというか、おべっかを使うためにどんなことでも言える輩なのでしょう。そして実は台湾人にとって一番困ったことは、彼は公然と「台湾は中国の一部なんだ」と公開の場で言ったわけです。

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