マクロン大統領、ありがとう

台湾

台湾ボイスの皆様こんにちは、林建良です。人間は普段いい事、あるいは正しい事をやっても基本的には、そこまで注目されません。世の中には悪い人よりも大体いい人の方が多いわけですから、いい事をやっても当然の事だけだと捉えられてしまうのです。ところが悪い事をやると、すぐに有名になってしまいます。そういう事で有名になるは、よくないから悪い事をやってはいけません。例えば、我々は警察の治安維持を支持しています。絶対に警察の味方になると、いくら言ってもニュースにはならないのです。ところが、ある政治家が「私は、あくまでも中立の立場であり決して警察の肩を持つわけにはいかないし、警察と泥棒の間の中立の立場に立つ」と言えば、その政治家は即刻で有名になってしまうでしょう。つまり、たちまちメディアに叩かれてしまうのです。世の中に愚かな政治家がいるのかと思うかもしれませんが、我々一般人から極めて常識な事であっても、一旦権力の中に入ってしまうと人間が狂ってしまいます。最近の例としては、フランスの大統領であるマクロン大統領の名前が挙がります。マクロン大統領は4月5日から4月7日まで、中国訪問しました。もちろん彼1人ではなく、欧州の委員長であるフォン・デア・ライエン氏も同行しています。それだけでなく実は、マクロン大統領はフランスの企業、財界50人を引き連れて行ったのです。この財界を引き連れていくという事自体が非常に卑しい行為であると言えます。彼の下心が丸見えで、商売しに来たという事です。これは商売として、マクロンの中国訪問は成功したと言えます。なぜなら彼は2000億ドルの商談が、この訪問中にまとまったからです。例えば、エアバス160機の注文とか、これはかなり大きな商売でしょう。それだけではなく原子力発電のプラント、あるいは自動車の生産ラインの合弁会社とかも成果をあげています。彼は多岐に渡り、全部で18項目の協定も結んだようですけど、商売としては成功したと言えるのです。しかし、このマクロン大統領が帰りの飛行機の中で、フランのマスコミ2社(Les Echos、Le Monde)プラス、アメリカのマスコミのPoliticoいう政治専門のマスメディアの欧州支局の人間と飛行機の中でインタビューを受けました。そのインタビューは翌日の4月9日に公表されたわけですが、それによって今度マクロンは蜂の巣をつついたような事になってしまいました。彼はインタビューの中で警察官と強盗の間で、どちらの肩も持たないから私は「第三の極」を目指すという事で、あまり警察に加担しすぎると、我々の利益を損なうと言って、ヨーロッパのとるべき事を延々と喋ったわけです。彼の言った代表的な言葉とは「Strategic Autonomy」です。日本では「第三の極」と翻訳しているのですが、これは自主戦略をとらないといけないという事を示しています。自主戦略とはアメリカには追随せず、我々は自分だけの道があるため、米中とも警察とも泥棒とも一方的に肩を持たないと言っているのです。泥棒と距離を置くのは当然の事ですが、警察とも距離を置くという意味が含まれています。米中と距離を置くから中立だと言って聞こえは良いのですが、実際は極めて愚かな発言です。

2点目で強いバッシングを受けました。台湾危機にフランスだけではなく我々(ヨーロッパ)は関与しないと言ったのです。欧州連合はアメリカの政策に追随すべきではないという言葉を発しています。実際に台湾の危機を我々の危機ではないという事です。台湾での緊張の高まりに我々の利害はあるのか答えはNOだと、我々のものではない危機に捉われたら罠に陥ってしまうと言ったのです。つまり台湾の危機は、ヨーロッパにとって罠であるという事を示唆しています。この発言を瞬間に西側陣営のアメリカ、ヨーロッパ、日本から強い批判されました。ヨーロッパにおいては、ドイツ、ポーランド、チェコから、さらにはフランス内部からも厳しい批判されたのです。具体的にどのような批判があったのかを話します。真っ先に反応したのは、その日に出版されたウォール・ストリート・ジャーナルの社説でした。これは本当に怒り狂っている内容でタイトルは「Macron Blunders on Taiwan an Ukraine」と社説に書かれていたのです。つまり、マクロンは台湾とウクライナの事について非常に大きな間違いを犯してしまっているという事が窺えます。我々の中国の侵略に対する抑制力を、この発言によって、わざわざ弱めてしまったのです。そして見出しには「He weakens deterrence against Chinese aggression and undermines U.S. support for Europe」と書かれていました。彼の発言によって、アメリカのヨーロッパに対するサポートはダメージを与えているのです。彼はヨーロッパの代表として、我々は中国とアメリカ、どちらのサイドも取らないし、我々は第三の極で行くと言われてアメリカの国民は冗談ではないと怒っています。今のNATOは基本的にヨーロッパを守る最大の軍事組織ですが、一番お金をつぎ込んでいるのはアメリカです。今のウクライナ戦争に一番お金を注ぎ込み、武器を提供しているもアメリカです。あれは全てアメリカ国民の税金であると理解しなければなりません。初めにウクライナを守るためではなくて、まずはヨーロッパを守るためにウクライナを守らないといけないという事が含まれているのです。マクロンの「我々は第三の極で行くので台湾危機は関係ない」という、これほど自己中心的な発言をした西側の指導者は今まで殆ど存在しません。

そして、同時にヨーロッパの新聞紙フィナンシャルタイムスでは、4月10日に一つの論評を発表しました。この論評を書いたのがGideon Rachmanです。彼は非常に有名な評論家ですが、彼は「Why Taiwan Matters to the World?(なぜ台湾は世界にとって重要なのか?)」という論評を書いています。主に彼が提起したのは3点です。1点目は台湾民主国家だからという事になります。民主国家を見捨てるのであれば、いずれ自分の身に降りかかってくるでしょう。我々は正義のために立ち上がらなければ、いざ自分が同じ目に遭うときも、誰も立ち上がってくれません。当然の事です。しかも、一番重要な事で台湾は民主国家であるという事の1点だけで、民主国家は台湾の事も自分の事として返ってきます。台湾の民主主義は言論の自由も、国の中の透明度もウクライナ以上に進んでいるのです。しかし、ウクライナも民主国家だから守ってあげていると言われても良いでしょう。これは、今の普遍的価値観で一番重要な部分です。2番目の重要な部分とは、台湾が中国の拡張を抑えてくれている事になります。つまり、台湾は中国の侵略の最前線に立っているのです。中国の目的は、決して台湾だけでもなく、東アジアだけでもありません。中国の目的は世界の人類の運命共同体を構築する事です。これを習近平が何回も言っています。人類の運命共同体を構築するという意味は、地球の全ての人類をコントロールするという事です。習近平が把握できるようにするという事は、つまり世界制覇であることを示しています。世界制覇という言葉を聞いていると、まるで子供の漫画のシナリオのように見えますが、習近平は本気で考えているのです。これは独裁者の非常に似ている心理ですが、かつてのヒトラー、今のプーチンも習近平も基本的に同じ心理だと言えます。つまり、自分が偉いからこそ、世界は全て俺のものだという考えを持っているのです。最初に中国の侵略を食い止めているのが実は台湾であると言えます。台湾を中国に譲ってしまえば、その後は中国にとって非常に恐ろしい武器を手に入れる事になるのですが、今度の世界侵略が簡単に展開できるのです。台湾の事は決してヨーロッパと関係ないというわけではありません。

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