習近平の弱気発言

台湾

藤井:それから私が気になったのは、林さんの最近のレポートのなかで「習近平が若者に媚びるなど、どうも弱気になっているのではないか」という分析です。3月の全人代で政府が固まるまでは危ないのではないかというような指摘もありました。私には意外だったんですが、林さんに言われてみると、それもそうだなという気がしてきました。

林:そうです。

藤井:中国でも何か大きなことが出てくるかもしれませんね。

林:台湾ボイスのレポートで彼が弱気になっているという証拠を述べました。独裁者が絶対に言ってはいけない言葉があります。それは「いろんな意見があるのは普通のことだ」という言葉です。

藤井:なるほど。

林:僕たちには当たり前のことなんですが、独裁者は当たり前のことを言ってはいけない。彼は2022年10月に独裁者から神様になりました。「これから世界運命共同体を構築するとともに、人類を指導していく」と高らかに宣言しています。そのような独裁者が若者たちの意見を聞かなければいけないというのは、矛盾だと思いませんか。

藤井:それは矛盾しています。

林:カリスマ性があって、神様になった指導者が「世間一般にさまざまな意見があるのは当然のことだ」と発言したこと自体、彼の弱気がその言葉に表れていると思いませんか。

藤井:なるほど。

林:独裁者が若者に媚びるということは絶対にやってはいけない。彼は独裁者の掟を守っていません。独裁者のマニュアルがあるのに、読んでいなかったということです。

藤井:なるほど。

林:それが一つ目の証拠です。二つ目の証拠ですが、彼は明らかに白紙革命が起きたことを受けて、ゼロコロナ政策の撤廃を決めました。

藤井:これですね。

林:そうです。経済が悪いとか、そもそもコロナを抑え込めないとか、そんなことは当然でしょう。後から言い訳じみたことを言い始めていますが、独裁者であればやりきらなければならなかったと思います。独裁者は自分の過ちを認めてはいけないんですよ。

藤井:そうですね。

林:ところが習近平は11月末にあっさりと前言を撤回して、12月7日に正式に撤廃しています。

藤井:はい。

林:彼はその前日に「我々はいかなる困難が目の前に現れようとも、今後もゼロコロナ対策を遂行していかなければならない」と発言していました。その言葉の余韻がまだ残っているうちに、翌日にはガラッと政策を変更したわけです。

藤井:なるほど。

林:いくら弁解しようとも、いくら言い訳を重ねようとも、これはみんなが見ています。若者からの「習近平、退陣しろ」という一言が彼の最大の弱点です。彼は欧州連合大統領に会ったときに「若者がいろいろな不満を持っている」と口に出してしまいました。若者が不満を持っているからという理由で、独裁者が政策を変更してもいいのでしょうか。独裁者の名が泣きますよ。だから彼はある意味で若者たちの反抗に屈したということだろうと思います。それだけではなく、現場の警察が強力に取り締まることもなかった。

藤井:そうですね。

林:みんなが12月31日の年越しカウントダウンで花火を打ち上げていました。そのとき、警察は強力な取り締まりを行なわなかったわけです。さらに旧暦の大晦日でも爆竹があちこちで鳴らされましたが、今回も取り締まりは厳しくなかった。これらの状況を見ていると、今までの法律が機能しなくなったと読み取れるのではないでしょうか。なぜ機能しなくなったかというと、地方財政が物凄く悪化しているからです。地方財政の悪化によって治安維持の費用が賄えなくなったのではないかと僕は考えています。治安維持の費用が払えないということは、独裁者が手と足を失うということを意味します。その意味では、地方と中央の対立関係が生じているのではないかと思います。

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