「中国は嘘つき」と認定するアメリカ下院

台湾

アメリカの下院は1本の中国譴責決議案を採決しました。これはつまり中国のスパイ気球に対する非難です。これは実は全員一致で採決しました。全部で419票の賛成対ゼロ票の反対、反対者はいないということで決議しました。この決議案はいったいどんな意味があるのか。この決議案には果たして効力はあるのか。実際にアメリカの国会ではこのような決議案があるのですけれども、決議案そのものには法的効力はありません。つまりこの決議案を通してアメリカ政府に強制する力はありません。しかしこれは1つの非常に強い民意の反映です。アメリカは上院と下院の両方がありますが、上院は100名です。下院はそれより4倍も超えた人数です。上院は1回当選すると6年間の任期が保証されます。民意にそれほど影響されずに外交や国防分野でちょっと長いスパンの政策が取れる、上院議員の存在意義はそこにあります。しかし下院の場合は2年に1度全部改選するわけです。だから下院の方がより民意に敏感と言えます。実はこの中国のスパイ気球が公表されてから、下院の決議案が採択されるまでは僅か1週間です。しかも与野党超えて、党派を超えて全員一致という決議案は、実はアメリカでは珍しいです。これは現在のアメリカの民意の非常に強いメッセージと言えるわけです。

ではこの決議案の中身は何か。この決議案はそんなに長いものではありません。提出したのは下院の外交委員長であるマイケル・マッコールです。決議案は主に4つの項目がります。1番目の項目としてはもちろん中国のアメリカに対する公然の主権侵害を非難する、つまり抗議するということです。2番目は、中国が虚偽の主張で国際社会を騙そうとしているという事に対する批判です。つまり中国は嘘つきという批判です。3番目の項目はバイデン政権に要求するわけです。これからは是非迅速な反応をしてくださいと。そして再発防止策を取ってくださいという意味で。これはある意味でバイデン政権を批判しています。なぜこれがバイデン政権を批判していると言えるかというと、バイデン政権が中国スパイ気球を発見したのは1月28日。公表したのは2月2日です。撃ち落としたのは2月4日で、ちょっと反応が遅すぎる。場合によっては、民間人が発見しなければ隠し通す場合もあるかもしれない。これは3番目のポイントです。4番目もバイデン政権に対する要求ですけれども、この件において詳細な説明を求めています。それからその対策。これからこういうことになったらどうなるのかと。実はこの決議案が通ったちょうど翌日、今度アメリカ政府は2月10日にアラスカでまた1つの不明な飛行物体を撃ち落とした。この不明な飛行物体とは何か。またスパイ気球なのか。中国のものなのか。今の時点ではアメリカ政府は公表していないけれども、恐らくこの決議案の影響があったと思います。これで分かることは、アメリカ全体の雰囲気です。アメリカ全体の雰囲気としてはこの気球事件はもう絶対に許せない。

そしてこの中の一番大きな意味とは何か。中国は信頼できない国。中国は嘘つきの国だということです。中国はこの事件が発生してから、2月2日にアメリカが発表してから、最初は我々のものじゃないと否認した。それから「これは民間のものだ」と。つまり中国は一度たりともスパイ気球であるということを認めたことはありません。つまり嘘をつき通しているわけです。中国の態度がこうであれば、当然アメリカ政府からすれば中国の嘘をどんどん暴いていくと。逆に中国の反応はどうかと言うと、アメリカ政府が撃ち落としたことに対して、「これは武力行使だ」「国際慣例の違反だ」「我々はいずれ報復する権利を保留する」、つまりいずれ報復するということ。中国はなぜここまで本当のことを認めないのか。果たして中国にとってプラスになるのか。この件においては、全世界が注目しているわけです。そしてアメリカ政府も議会での説明や公聴会、記者会見、マスコミのインタビューなどで、この件において詳細に説明しているわけです。FBIがどれぐらいのものを回収して、その中身はどうかということも、写真も公開しています。いずれ、どのような部品を使って、どのようなことでこれがスパイ気球であると証明できるかということまで、恐らくアメリカ政府は証明すると思います。果たして中国の取ったこの嘘をつき通すという策はベストなのか。アメリカの諺からすれば、Honesty is the best policyつまり誠実こそ最善の策ということです。これはアメリカ人にとっても理解しやすいし、日本人にとっても理解しやすい。台湾人にとっても理解しやすい。なぜ中国人には分からないのか。そして今のアメリカ人の関心事、特に政界の関心事としては、習近平がこれを知っているかどうか。そして習近平政権の内部でこれをどうやって処理するのか。つまり習近平政権に果たして危機管理能力があるかどうかですね。これは間違いなく中国にとっては1つの危機と言えます。しかし、習近平政権は果たしてライオンの軍団なのか、あるいは羊の軍団なのか。リーダーがライオンであれば、たとえ部下が羊であってもこれはライオンの軍団です。逆にリーダーが羊であれば、たとえ部下がライオンであっても羊の軍団です。つまり習近平がどう判断するのかということです。

常識的に考えると最善の策とは何か。最善の策とはもちろん誠実です。Honesty is the best policyだから。つまり習近平政権がもしライオンの軍団であれば、ライオンが取るべき行動は4つります。1つ目の行動としては事実を認める。確かにこれは我が国の探察気球、つまりスパイ気球だと事実を認める。2番目に何をするかというと、謝罪する。「本当に申し訳ございません、これをそっちに飛ばしてしまった。全て我々に非がある」と認めて、謝罪する。

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