台湾人視点でみる鄭州フォックスコン大脱走

台湾

台湾ボイスの皆様こんにちは、林建良でございます。
10月29日に中国では一つの映像がSNSによって急速に拡散されました。どういう映像かというと、鄭州市にあるフォックスコンの従業員が会社から脱走して、高速道路や田舎の道路などにおいて、自分の荷物をもって徒歩で家に帰るような大脱走劇が実行されたのです。どのくらいの人数でやったのかというと、映像で見ている限り本当に夥しい数ですけど、一説によると数万人程度の人間が逃げ出しました。彼らが何のために大量の人間が一斉に逃げ出したのでしょうか。実はこのフォックスコンという会社は、主にiPhoneを生産している会社です。しかも、そのiPhoneの生産量が実は世界の50%がこの鄭州市にあるフォックスコンという工場で生産されています。この会社にどのくらいの従業員がいるかというと、実は20〜50万人がいて、平均して30万人ほどの人間が働くマンモンス工場と言っても過言ではありません。30万人くらいの工場であれば、日本で言えば地方都市のレベルの大きさですが、その中の数万人程度の従業員が逃げたのです。彼らは、どんなことがきっかけで逃げなければいけなかったのかというと、この会社で実は10月の中旬頃からコロナ感染が拡大するようになったのです。この感染の拡大を通常は中国であれば、この団地の中で1人だけでも感染者がいると全部隔離されます。そして、中国の会社や工場であれば、1人でも従業員の感染が見つかると、全部操業停止にして会社ごとにロックダウンとなります。しかし、このフォックスコンという会社は、実は台湾企業なのです。この台湾企業が、ある程度の特権を得ていますが、この会社は鄭州市または河南省にとっては、非常に重要な企業だと言えます。どのくらい重要かというと。実は河南省全体の輸出の6割をこの1社が占めているのです。鄭州市に限って言えば輸出額の80%が、その1社で創出しています。だから、ここは会社と言っても、ほぼ一つの小さな都市と言ってもいいような規模です。

しかし、中国の地方政府は、ある程度この会社に管理とか、特にコロナに関する管理は他のところよりも、実は制限が緩くされています。だから、この会社は台湾企業ですが、この会社の経営方針としては中国以外のところのような厳しい管理ではなくて、比較的に緩やかな感じです。つまり感染者が出ても、工場を停止せずに操業を続けています。陽性の人間と濃厚接触者だけ隔離されているのです。ある意味で世界的常識の管理下にあると言ってもいいのですが、なぜ従業員がこのような管理に不安を持って逃げ出したのでしょうか。逃げ出した理由は主に二つあります。一つ目の理由として、いざというときは自分も隔離されるわけですが、実はこの会社の中の食べ物の供給が足りなくて、そして、医療品も不足気味になっているのです。だから、食べ物が十分に与えられなくて、熱があっても、すぐに薬が処方されるわけでもありません。そうなると、隔離されたくないという思いがあるのと、毎日PCR検査をやっているけど、周りの人間で感染する数が増えてくるのです。それを見ていて、いずれ自分も感染するという恐怖感があると考えられます。つまり、隔離されるということ自体への恐怖感です。もう一つはコロナにかかった恐怖感です。今の日本であれば、別にオミクロン株に罹ったとしても軽症であるため、たいしたことありません。しかし、中国で3年近くのゼロコロナ対策の1番の理由としては、このコロナが大変だからです。コロナに罹ったら怖いとか、一般の中国人は中国政府の宣伝によって洗脳されているような状態いと言っても過言ではありません。中国政府はコロナが怖くなければ、このような厳しいゼロコロナ対策をやる正当性はないのです。だから、中国政府はコロナの怖さを強調しています。そうなると、一般の中国人からすれば「コロナ=怖い」という思い込みが強く、なぜ操業停止しないのかと考えてしまうのです。このゼロコロナ対策に対する不満というより、この緩やかなwithコロナの管理に対する不満です。仮に全てが一斉に操業停止になれば、もちろん仕事しなくて済みますが、強制的に操業停止となりますから、給料据え置きでもらえます。しかし、一旦罹ってしまえば、命がないかもしれないと、彼らはそう思っているわけです。そして、隔離されるかもしれません。実は隔離されている人間から、SNSを通じていろんな映像を出しているのです。いかに、自分が非常に惨めな状態になっているとか、隔離施設の中で誰か死んだとか、あくまでも噂ですけど一気に広がりました。彼らがこのような怖いところで仕事をするのは、やっていられないということで、給料も必要ないほどの気持ちになったのです。お金が命に継いで大切に思っている中国人が給料でさえも捨てて逃げ出しました。この映像は世界の全てのマスコミを通じて一瞬で世界中へ広がったのです。このことは、なぜ起こったのでしょうか。なぜ、10月中旬頃からの感染だったのに、10月29日になって一気に広まりました。これは、おそらく中国政府の思惑があるのではないかと推測します。

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