台湾政策法の精髄を内包する国防権限法(NDAA)

台湾

1つの政権の本気度を判断する際に何を見れば一番分かりやすいのか。1は人事、2は予算ですね。人事と予算を見れば、この政権のこの部分に対する本気度が分かります。人事は一番分かりやすく、この政策はこれから一番大切にする、一生懸命やっていくと示しても、全くやる気のない人間や能力のない人間を据えたりする。それはそもそもこの政権にはやる気がない。もう1つ分かりやすいのは予算ですね。この部分はこれから一生懸命やっていくと言いながら、しかし予算は年々削っていく。そうなるとこの部分にあまり本気になっていないということが分かるんですね。

普通の人間でもそうなんですけれど、家は家庭を一番大切にすると。家庭が第一だと。私の人生で一番大切な部分はやっぱり家庭だと言いながら、生活費を入れるのは微々たるもので、一番金をつぎ込むのは自分のゴルフ代とか飲み代とかですね。自分の付き合いにたくさんの金をつぎ込んで家族にひもじい思いをさせるのであれば、口では「家庭が一番大切」、しかし行動としては「ゴルフが一番大切」ということになるわけですね。人からそういうふうに判断されるわけです。その観点から来年度のアメリカの国防権限法を見ると、これからアメリカが一番本気になっている部分は何かと分かるんですね。台湾ボイスでも何度も紹介したように、アメリカの軍事予算はこの国防権限法で決めるわけです。ですから国防権限法が通らなければ、来年度の軍事予算がないわけですね。アメリカはよくこういう予算を武器にして、政治闘争を使って、わざと通さないということがよくあるんですね。それによって政府部門が全く機能しないこともあったのです。しかし軍事予算にかぎっては、超党派のコンセンサスで絶対通さなければいけない予算ですね。実際にアメリカの上院では12月15日にこの国防権限法を通過させたんですね。その1週間前の12月8日に下院も国防権限法を通過させたわけですから、国防権限法は基本的にはこれで決まりと言ってもいいと思います。今回の国防権限法にはどういう特色があるのかというと、アメリカ史上最大の軍事予算になるのが一番の特徴。つまりアメリカがこれから一番大切にするのはこの国防の部分なんです。相手とは誰か。自ずと分かるんです。相手とは中国なんですね。つまり中国に関する警戒心は特に軍事面でここまで高まっているということなんです。この国防権限法の予算は総額として8580億ドルなんですね。去年と比べれば800億ドルの増加なんですね。もちろんインフレとかいろいろな要素もあるけれども、それにしても10%の増額というのは非常に大幅な増加といってもいいですね。さらにバイデン政権が提出した予算案よりも450億ドル増やしている。これは何を意味しているというと、バイデン政権が出した予算よりも、国会の方が「もっとしっかりしろ」と、増額したんですね。日本と台湾ではこういう例はあまり多くはなく、大体出された予算は削られるんですね。しかしアメリカの場合、特にこの軍事予算の場合は、国会で増額するということはよくあります。では今回の予算案の一番議論されている部分、そして一番注目されている部分とは何か。台湾ボイスでも以前紹介したことがあるのですけれども、それは台湾政策法の一番重要な部分をこの国防権限法に織り交ぜたんですね。台湾政策法は台湾にとってもアメリカにとっても、引いては世界にとっても非常に重要な法案ではあるんですけれども、しかし日程の問題で、この台湾政策法を会期内で成立させることは極めて難しい。ですからこの一番重要な部分はこの毎年通さなければいけない国防権限法の中に織り交ぜるというコンセンサスが、アメリカの国会議員の中でもできているわけです。では今回の国防権限法の中に、台湾政策法のどの部分を織り交ぜたのか。実は国防権限法の法案作りは軍事委員会の権限で決める軍事予算ですから、台湾政策法の軍事的側面をこの国防権限法の中に入れたわけです。

では、入れた部分は何か。主に5つの部分がある。この5つの部分は台湾政策法の一番の精髄と言っても過言ではありません。1番の部分は、台湾をはっきりとMajor Non-NATO Ally、つまり主要な非NTO同盟国の地位を与えてくれた。国防権限法に入れられた台湾政策法の重要な5つの部分①<台湾をMajor Non-NATO Ally(非NATO主要同盟国)に指定>この地位を与えられて、これからの台湾はどうなるか。つまりこれと同じような地位を持つのは、例えば台湾から一番近いフィリピンですね。アメリカで余分な武器があれば、直接フィリピンに供給できる。台湾もこれからそうなるんですね。余分な武器とは要らない武器ではないですね。今現に使われていて、アメリカ軍の貯蔵庫にある武器。それはどこが大切かと言うと、台湾がアメリカから武器を買う場合には大体新品の武器を買うんですね。中古の武器は、以前譲ってもらったことはあるのですが、最近は大体新品の武器ですね。新品の武器を買うには事前に向こう(アメリカ)に審査してもらわなければいけない。そして審査してもらってから発注する。発注して、これから作る。下手すると10何年のスパンでやっと武器が手に入るんですね。しかし現に米軍の武器庫にある武器であればすぐに台湾に譲ることができる。あるいは売却することができる。極めてスピーディーに対応ができる。これは非常に大きな前進ですね。そして2番目は台湾に対して軍事支援をする。

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