「キョンシー化する中国経済」・体制内部からの習近平討伐檄文

台湾

2023年の中国経済はどうなるか。実は昨年の中国の展望について、台湾ボイスでも触れました。今年2023年の中国の経済が一番影響を受けているのは、疫病の問題、つまりコロナの感染問題です。このコロナの感染はどのくらいの規模になるかと言うと、最近は段々と明らかになってきたんですけれども、中国の中の専門家のほぼ一致した意見としては、おおよそ8割か9割くらいの人間が感染するのではないかということです。そうなると、感染人口は10億を超えているということになります。いくら軽症の人が多いとは言え、死んだりする人もいます。今現在の趨勢から見ると、中国の感染による死亡者数はどんなに軽く見積もっても、絶対100万人を超えている。恐らく200万近い人間が死亡するのではないかと思います。そしてそれよりもさらに多い人間が病気になったりして、入院が必要になったりするわけです。そうなると台湾ボイスでも紹介したように、まず医療崩壊、それから社会崩壊になっていくわけです。当然みんなが病気になっている場合には経済が良くなるはずがありません。

しかし今回の感染のピークはいつごろになるかと言うと、恐らく旧正月です。つまり1月22日の旧正月前後にピークになってくるでしょう。そしてだんだんと都市から農村にまで広がっていくんです。恐らく旧正月の後に農村部にだんだんと広がっていく。当然医療のインフラも非常に悪いというところで、死亡者数はさらに増えていきます。それで治療がさらに困難になってくる。ちょうどその時期、2月や3月辺りは作付けの時期なんですけれども、それによって農作業ができる人間が非常に少なくなって、作付けができないとすれば、中国の食料問題になってくるわけです。中国の14億の人間の食料問題はイコール世界の食料問題。それだけでも中国経済にとっては非常に良くない状態です。一番楽観的な予想としては、3月までに収束するという予想です。しかしそれは基本的には今まで以上の変異株が出ないということ。一番スムーズにいけば、3月頃までに収束するであろうと。収束してすぐに経済を再開できるかというと当然そうではないです。病み上がりで、健康な人と同じようにすぐ仕事をするということもできないし、さらに一旦医療崩壊した後、社会崩壊した後は、再建するためにどんなに早くても3か月から半年くらいはかかります。つまり病気だけを考える場合、その要素はたった1つ。病気以外は全く問題がないという前提だとしても、中国の経済は今年の前半は病気にかかっているような状態であって、良くなるはずがありません。

しかし中国経済は疫病だけが問題で、それ以外の部分はもう全く健康なのか、それはそうでもありません。我々外部の人間が中国のことを言うと、お前はまた中国の悪口を言っているんじゃないかと、中国の明るい面を全く無視して暗い面ばかり強調するとか言われます。しかし、それはそうでもないんです。暗い面ばかり強調していると、いずれ信用されなくなってしまいます。中国のことを客観的に評価するということが我々の仕事です。しかし、中国内部の人間の判断の方が正しいのか。普通ならそう思います。中国内部の人間、中国の経済学者とか専門家の言っていることは、中国内部のことですから、我々よりも知っているはずだと、みんなそう思うのですけれども、実際はそうではないんです。なぜかと言うと、中国の内部だからこそ本当のことを言えなくなってしまう。中国の内部だからこそ本物のデータは見えなくなってしまう。しかしそれでも中国の中に少数ながらまともな経済専門家がいるわけです。

今日はこの中国の問題を我々外部から見るのではなくて、中国の内部から彼らが自分の経済をどう見ているか。1人の良心的な経済学者の発言を、皆さんに紹介したいと思います。誰かというと、魏加寧ですね。魏加寧とはどういう人間か。1958年の生まれで、僕と同い年ですけれども、産業発展促進会の学術顧問です。産業発展促進会とは中国経済の発展改革委員会の一部です。中国経済のことに関して、発展改革委員会は極めて重要です。恐らく中国経済に関する一番重要な部署と言ってもいいんですけれども、その一部なんです。つまり政府機関です。この政府機関(学術顧問)の彼は2022年の12月24日に開催された中国金融安全論壇(フォーラム)で、オンライン講演をしました。この講演の内容は後に2023年の1月2日にアメリカにある中国のニュースサイト、Sino-Us Times。Sinoというのは支那という意味で、中国人は日本人が支那というと非常に怒るんですけれども、自分のことを支那と言っています。SinoかSinaですね。oというのは、後ろに何かついている場合はoになります。基本的には支那です。支那とアメリカのTimes、Sino-Us Timesの中で、彼の講演内容が全文発表されました。しかし発表された後に、ほぼ直ちに中国政府によって完全にブロックされてしまいました。つまり、この発言内容は中国政府にとっては刺激的な内容で、場合によっては中国政府批判の内容になっているわけです。

ではどのような内容か。基本的には中国の経済はもうガタガタなんだと、彼は言っています。まず特に2022年の中国経済はいつごろ悪くなったか。彼は4月になってから中国経済は完全に急速的にダウンしていると言いました。4月は上海のロックダウンの時期です。上海の全面封鎖の時期です。それによって中国の投資、輸出、金融全てのデータが一気に悪化した。ここで1つ説明しなければいけないことは、彼の今回の講演の中ではデータらしいデータは1つも挙げていません。普通なら経済専門家の講演や論文でデータが1つも出ないというのは、大体怪しいです。経済専門家はデータを根拠にして説明するわけです。この中国の内部の人間は恐らくいろいろなデータを見ているわけですけれども、彼の今回の講演の中ではデータを全く出していない。全く出していない理由とは何か。つまり彼から見れば、中国の国家統計局から出されているデータというのは、馬鹿らしくて、もう使っていられないということなんです。しかし別のデータを用いると、彼は一応政府の一員なので、今度はなんでこんなデータを出してしまったのか、とか、ものすごく批判されるわけです。だから自分の良心に従うと、政府公認のデータを使えない。政府のルールに従うと、今度は本当のデータを出してはいけない。だから彼は逆に全てのデータを出さなくなっている。だから、普通に言えば、データを出さない経済学者の話を基本的には信じてはいけない。しかし中国だけは例外。中国の経済専門家の言っていることは逆にデータを出さないほうが信用できる。だから彼の言い方としては、単に「ものすごく悪化した」とだけ言ったんですね。何%とか、どのぐらいの数字からどのぐらいの数字に下がったとか、彼は一切言いません。一切言わないけれど、信用できるんです。

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