中国にとってペロシ議長訪台の衝撃

台湾

A:藤井厳喜様
B:林建良様

A:それではABCのCセクションに行きたいと思います。これはチャイナの方にとって、ペロシ議長訪台の衝撃ということで、習近平・中国共産党の中でいろんな反応が出てきていると思いますが、彼女を止められませんでした。北戴河会議もあったようなので、この中身は分かりませんけど、どんな感じだったのかという想像はつくと思うので、その辺の話を聞きたいです。私が良かったなと思うのは、これでバイデン政権はチャイナからの輸入品にかけていた高い関税を部分的に下げる予定でした。これをインフレ対策だからと言って、言い訳にしてやろうと思っていましたが、これができなくなっています。もう米中関係が緊張してしまって、腹の中ではバイデンはやりたいと思っているけど、それこそタイミングが悪くなってしまいました。

B:時期が悪い訪問でしたね。

A:国内世論を刺激しすぎるからできないということになって、チャイナを刺激するのではなく国内世論がさすがに怒るのでできないということになりました。それから話は別ですけど、安倍さんがああいう形で殺されたのは残念ですけど、そのおかげの一つとして、日中国交が樹立して50年のお祭りやお祝いができにくくなっています。少なくとも大規模にはできなくなったので、これは一つの効果かなと思って見ております。チャイナ側はどういう反応をしたかということでお願いします。

B:おそらく、これはもうマスコミなどでいろいろ報道されていると思いますが、中国にとっては非常にヒステリックに反応していたわけです。

A:次から次へとすごい発言が出てきましたよね。

B:そうですね。しかも、この発言はツイッターに投稿しています。例えば、環球時報の前編集長である胡錫進のツイッターでナンシー・ペロシを撃墜すると書かれていました。このようなことはさすがにアメリカの1番よく使われているSNSで明確に議長を殺すという恫喝していたのです。

A:私は最近、胡錫進のファンになりました。言うことがいちいち面白いです。長期的に言うとチャイナの国益にはならないことばかりを言ってくれるので大変いいなと思っています。

B:実はこれが彼の本音であるかどうかは別として、この胡錫進に中国では億単位のファンがいるのです。だから、胡錫進は中国のどの媒体よりも影響力を持っています。彼のフォロワーは、ある意味で、中国全体の世論を代表していると言ってもいいのです。つまり、中国全体の世論としては小粉紅というのは、紅色ではなくピンク色という意味であり、要は共産党の支持者を表しており、ナショナリストということを指しています。その発端は別の理由があるのですが、今の小粉紅という表現としては中国全体の若者を中心とするナショナリストという意味で、胡錫進は彼らから強烈な支持を得ているのです。胡錫進がナンシー・ペロシに最初、何を言ったかというと「もしナンシー・ペロシが専用機で台湾に行くのなら、必ず中国の戦闘機も随行して一緒に台湾の領空侵犯をして、台湾側がもし中国の戦闘機を打ち落とすような行為があれば即戦争だ」ということを言っていました。
つまり、戦争の口実としてナンシー・ペロシの台湾訪問を使いたいという意味です。その後、どんどんエスカレートして専用機を撃墜するとか、あるいは専用機を護衛する空母を全て殲滅してしまうとか、そのような恫喝をしています。要は中国のナショナリズムが極端まで煽ったわけです。
しかし、これは単に煽るように利用しているのか、パフォーマンスだけなのか、そうではありません。実は習近平は本気で恫喝していると思います。つまり習近平が本気で恫喝することによって、今回のナンシー・ペロシ議長の訪問をやめてくれると彼は本気でそう思っていたのです。だから、彼に同意した手段は胡錫進だけではないですが、ほぼ全ての手段を動員しているということになります。1997年のニュート・ギングリッチ下院議長の台湾訪問の際は、当時の中国が通り一遍の反対をして、そのあと特別そういう過激な行動をしていません。当時の江沢民政権でしたが、この前例があったにも関わらず、それは別に前例を破ったというわけではないですから、現状を変えたわけでもないし、なぜ今回の場合はヒステリックに反応しているかというと、僕に言わせれば、これは100%国内向けのものです。今回、仮に習近平が恫喝作戦によって成功したのであれば、彼の地位がかなり高まることになります。
やっぱり全世界が、アメリカほどの超大国でも中国の言うことを聞かなければいけないという状態になっているということです。彼にとっては、この威信を高めるという効果がものすごくあります。彼も実際は中国側だけではなく、全世界の親中国的な人間、あるいは親台湾派ではありますが、実は裏で中国と繋がっているような人間にもプレッシャーをかけて、彼らに時期が悪いとか、延長した方がいいとか言わせているのです。

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