ペロシ議長訪台が世界に与えたインパクト

台湾

A:藤井厳喜様
B:林建良様

A:最終セクションDのお話に入りたいと思います。このペロシ議長訪台が世界に与えたインパクトを台湾国内もアメリカも、それからチャイナにおいても世界的に非常に大きな流れが加速したということを我々も目撃することができました。確かにアメリカの大統領が優柔不断ではあるけれども、米中対決を予想していたことは誰の目にも分かるようなったということです。
また古い話で恐縮ですけど「米中新冷戦」という本を私が書いたのは2013年の春に出版されて、2012年までの状況を見て既に米中の対立構造でいけば必ずクラッシュコースになるなと思っていたときがオバマ政権だったので、これはすぐに表面化しないだろうということでした。
その後しばらくして林さんとコラボレーションをやって、特に「ONE TAIWAN PROJECT」で必ずこうなると言っていたことが本当に目に見える形で現実になっています。多分、反対派陣営だった人も認めざるを得ないだろうということになってきました。特に今回のペロシ訪台の後も結構な大物が訪問して、先ほどの話ではポンペオは再度台湾へ行くと言っていますよね。

A:彼は9月に行きます。

B:元々共和党、反共産主義のタカ派の人は台湾支持だけど、民主党の左側の人はそうでもなかったけど、ペロシが行ってしまったからそうも言っていられなくなり、これは単に彼女が訪台したということではなく、やっぱり台湾側の台湾ロビーと言いますかアメリカ国内で活躍している台湾外交の勝利でもあると思うのです。様々な根回しもあり、努力があってそういうことになってきて、それから共和党のタカ派系の反共産主義と言っている人たちだけではなく、国内にはリベルの人たちも語りかけて、彼女が行ったことにより民主党も共和党も超党派となって、台湾支持をしていることが明確になりました。ペロシは国会議長であるため行政府や軍だけではなく、議会人も総じて台湾を支持しているということです。だからアメリカが一体として行動できるようになったということが非常に大きなインパクトがあったと思います。
先ほどのCHIPS and Science Actの話も含めると同時に、その後の台湾周域で行われた中国軍事演習は一応終了しましたが、これからこういう圧力を常態化していくというのはニュー・ノーマルで通年中間線を越えていくということを言っていますが、これはこれで危険なことなので、どう対処していったらいいのだろうかということですよね。日本のEEZ内にもミサイルが着弾して、日本政府は実にだらしない態度でしたが、これに対して危機感を持っている方も多いと思うので、この辺について更に詳しくお願いいたします。

B:まず今回の一連の出来事で小さな面においての見方と大きな面においての見方が2通りあると思うのですけど、小さな面においては軍事演習によって 変わった事として、ニュー・ノーマルあるいはニュー・ステータス・コーを巡る攻防なのです。なぜなら現在アメリカ側の例えば、国務長官であるアメリカのブリンケンも国防総省も米中国大使のバンスも非常にトーンを上げて中国を批判しています。
アメリカにとって中国への1番厳しい批判というのは、現状を変えるという行為です。実はアメリカの対外政策の中で1番我慢できないことであり、1番許せない行為でもあります。アメリカは1番声を挙げて相手を批判するという言葉の一つにある「修正主義者; Revisionist」が非常に厳しい批判です。なぜ修正主義者というのは言葉の上では別にそうでもないように見えるのですけど、これはアメリカ側から見ると現状や体制を破壊する行為ということになります。今の平和の状態を破壊する行為=現状を破壊するということですから、中国は現状を破壊しているということを今のアメリカ政府の当局者がみんな口をそろえて言っていること自体が大事なのです。しかも今回のこの緊張状態によって、この言葉が明確化してきました。実は中国の現状破壊は今に始まったというわけではありません。
この2年間ずっと軍機や軍艦などが台湾の防空識別圏に侵害したり、国際社会から台湾を追放して罰を与えたりして現状破壊は従来やってきている行為なのです。しかし、今までアメリカは中国が現状を破壊していることを批判したことがありませんでした。

個別的なことに批判したとしても、例えば、中国が台湾の外交を持つ国を奪ったり邪魔をしたりすることをアメリカからすると現状の破壊とは言いません。批判はしますが現状破壊までは至らず、現状を変更するといったらアメリカの場合はその後にこの政策を全て変更しないといけなくなります。なぜなら、アメリカの現状維持の建前として外交政策を維持していき、そして、外交政策の後について軍事政策も軍事戦略もそれに合わせてやっていくからです。
しかし、現状が一旦変更・破壊されると、そのあと一連全ての政策を変えていかないといけません。例えば、アメリカに対して現状の破壊をした事実があっても、今まで批判しなかったのは、そういう意味があります。要はこの言葉を一旦口にしたら全ての政策をそれに合わせないといけないということになるのですが、今回の場合は中国自身がこれからの新しい現状を言いだしたわけですから、つまり自分で現状を破壊したと認めたことに等しいのです。新しい現状とは今までの古い現状を新しくして変更したというロジックがあります。だから、中国が使っているニュー・ノーマル、ニュー・ステータス・コーという言葉自体が自ら現状を変更したと言っているのと同じです。

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