米中対決を加速させる米国家安全戦略

台湾

台湾ボイスの皆様こんにちは。林建良でございます。

10月12日にアメリカのホワイトハウスはバイデン政権の国家安全保障戦略を発表しました。これはもっと早く発表する予定だったのですが、ウクライナ戦争によって遅れてしまったのです。実は2021年3月に暫定的国家戦略の発表がありました。今回の発表は、大体その線に沿って方向性としては同じなのですが、いくつか当時の状況と違ってきたので少し修正されています。どういうところが修正されてるかというと、今回の国家安全保障戦略のレポートは全部で48ページとなっていますが、その中の23ページ、約半分ぐらいは中国のことを言及しているのです。トランプ政権以前は、アメリカの国家戦略は大体、ロシア、もしくは冷戦時代のソ連を最大の敵としての位置づけだったのですが、トランプ政権になってからはロシアと中国を同列するようにしました。今回の場合は、明らかに中国を焦点にしています。つまり、アメリカにとって中国は最大の脅威になったのです。もちろんレポートの中に中国のことを「脅威」という言葉は使っていないけれども、恐らくアメリカにとっては唯一、最大の競争者になったということを意味しています。一方でロシアの位置づけはどのように変わったかというと、喫緊な脅威になっていると言っていいでしょう。もちろん今、侵略戦争をやっているわけですから、特にヨーロッパ全体としてはかなりの脅威です。もし核兵器を使ってしまうと世界的な問題になるわけですけど、このレポートの中には明らかにロシアの脅威が格下げされています。つまり、ロシアは喫緊の脅威で、人間としては怪我をして血を流しているということで、すぐに対処しなければなりません。

しかし、中国の位置づけは国際秩序を作り替える意図も能力も同時に持っている国であり、外交的・経済的・軍事的、全ての分野において、その能力を持っている唯一の強豪国としているのです。つまり、アメリカと競争できる国、競合できる国が中国になったということを意味しています。同時に中国もロシアも、修正主義者、つまり現在の秩序を変えてしまうという修正主義です。台湾ボイスでも以前紹介したことがあるように、修正主義というと日本語としては、たいしたことないように見えますが、アメリカの外交上、修正主義(revisionism)は非常に強烈な言葉です。修正主義とは我々の現在の体制を破壊してしまおうということになります。今の最大修正主義者は独裁国家かつ独裁主権宣誓国家というのが中国とロシアなのです。つまり両国を一括りにして悪い国ということになりました。これはまさにウクライナ戦争の後の当然な趨勢とも言えるのです。そして、中国のことは、言葉としてどのように表現しているかというとMost consequential geopolitical challengeつまり、最も影響の残る地政学的挑戦と表されています。要するに中国はロシアよりも非常に怖い相手です。唯一、その意図も能力も持っている国だというのが中国だと言われています。この中国をどうすればいいかと言うと、バイデン政権の国家戦略としては最終的にout competing Chinaつまり、競争によって中国を打ち勝つと言うことです。どのように競争して打ち勝つのかと、レポートの中で強調しているのは、今後の10年間がとても重要だと書かれています。しかも、この非常に時間がなくなってきており、差し迫っているという、少なくともこの10年間は三つのことをやらないといけません。

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