中国のドローンを撃ち落とした台湾

台湾

台湾ボイスの皆様、こんにちは、林建良でございます。
9月1日の昼頃、12時3分に台湾の金門島近くの獅嶼という島に民用ドローンが接近しました。台湾の金門島は中国に近い島で、その金門島のさらにの離島というものすごく小さな島が獅嶼という島です。ライオンの島という意味で、実は中国の厦門とわずか3キロぐらいの距離です。その上空に飛んでくる中国の民用ドローンを台湾の軍が撃ち落としました。このことがすぐに世界的ニュースになって大々的に報道されているわけです。
なぜ台湾の軍が1中国の民用ドローンを撃ち落としたぐらいで、世界的ニュースになったのか。アメリカ政府もこの事件についてコメントしました。実はそれほど台湾にとってもアメリカにとっても中国にとってもかなり重大な事件でり、ただの民間用ドローンを撃ち落としたぐらいの出来事ではありません。

まず、中国のドローンによる台湾の領空侵犯。領空侵犯と言っても台湾の離島、特に金門とその周辺です。金門島は一つ大きな島で、その周りに小さな島幾つかあります。彼らは基本的には金門島の周りにある離島の上空にドローンを飛ばしてきたわけです。これはナンシーペロシが台湾の訪問中の8月3日から始まりました。8月3日から延々と9月まで、毎日のように台湾が所有する離島の上空にドローンを飛ばしていたわけです。これはある意味で領空侵犯です。台湾は、領空侵犯の経験があまりなく、しかも民間用のドローンということで、そのドローンを撃ち落としていいのか、どうすべきか迷っていたわけです。警告してもなかなうまくいかず、ドローンで写真撮影したりするわけです。

8月16日にまた台湾の所有する島の上に中国のドローンが飛んできました。そこでまた写真撮影をしているドローンに向けて、駐在する台湾軍がとうとう石を投げました。まあ、命中はしなかったんですけれども、その映像は8月24日に中国のネットで公開されました。中国のネットで公開された瞬間になんと2 億ヒットがあったんです。
多くのコメントの中に台湾をあざ笑うものがありました。「何か、台湾の軍の最先端武器っていうのは石ころなのか」「石ころを持ってても命中できない。そんな大した体力もなさそうですね」と、このように台湾軍を揶揄するコメントがたくさんあり、台湾の内部にも伝わったわけです。台湾内部の反応は、なぜたかだかそのドローンに対して何の対策も取れないのかと非常に屈辱的なものでした。8月3日から、そして16日にやっと石を投げて、24日に公開されるまでは、毎日のように台湾の軍事基地が撮影されていたわけです。もちろん、この軍事基地を撮影されたとはいえ、大した秘密を撮影されたというわけでありません。

なぜなら、この金門島は一番近いところでは2キロしかないほど、あまりに中国に近すぎます。金門を偵察しようと思えば、もうとっくに偵察しているわけです。だからドローンによって軍事秘密がとられたっていうわけではありません。しかし、台湾人にとってはかなり屈辱的です。

そしてとうとう、この世論が台湾の政府を動かしました。8月30日にようやく蔡英文総統が台湾に近い離島の澎湖諸島に空軍と海軍を視察しに行ったときに彼女は初めてこう言ったんですね。「我々は自制するけれどもできるだけこの相手を刺激しない。しかし、自制するからといって、我々は何の反撃もしないという意味ではないと、そして私はもう国防部に指示を出して、協力的な反撃措置を取るようにと指示した」と彼女がそう言いました。

そして8月30日に台湾の軍が初めて中国のドローンに発砲しました。撃ち落としてはいないけれども、初めて発砲したんですね。そしてそのまま中国のドローンは中国側に引き返したわけです。そして中国の反応はこうでした。中国の外交部の報道官の趙立堅は中国のドローンが中国の領空に飛んでどこが悪いのかというようなことを言いました。つまり彼に言わせると「金門だって我々中国の一部なんだから、中国の一部の領空を飛んでどこが悪いのか、こんな大げさなことではないでしょう」と。

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