大敗後の民進党、失敗は神様のプレゼント

台湾

少しでも社会経験のある人間であれば、1つのことを絶対に実感すると思います。どういうことかと言うと、人生において成功体験よりも失敗体験の方がより貴重であるということです。成功の経験よりも失敗の経験からのほうがたくさん学べるわけですね。しかし、失敗というのは人間誰も求めません。わざと失敗したいという人はいません。たとえ失敗の方が貴重だと思っても、失敗からよりたくさんのことを学べると思っても、失敗しようと思って仕事をする人はまずいないと思います。失敗というのは自分から求めるものではないです。人がくれるものでもないですね。たとえば親がわざと子どもにわざと失敗させようとすることは基本的にはないですね。受験勉強を一生懸命にやったけれども、受験に失敗した。わざと子どもが勉強できないようにするという親はあまりいないと思います。ですから失敗という体験は極めて貴重なんですけれども、しかし自分で求めるものではない。人からもらうものでもないですね。なぜかと言うと人間には基本的には惰性があるということなんですね。今までやって来たことはこのままやっていきたい。組織にしてもそうなんですけれども、事業にしてもそうなんですね。アメリカにはこういう言葉があるんですね。If it ain’t broke, don’t fix it. 壊れていなければ修理しないで。我々は日々、改革、改革というんですけれども。特に政治の世界では、改革というものは実は簡単ではないですね。なぜかというと、この言葉で分かるんですね。今まで上手くいっているのに、broke=壊れていないのに、なぜ直すの?組織、企業の中でも、商売でもそうなんですけれども、実はこれも直した方がいいのではないかと思っても、しかし日々の仕事の中で、何かを直す場合には、このやっている人間にかかっているわけですから。要はこれまでやってきたことが否定されるわけですね。だから否定されて、新しくすること、それが改革というのですけれども、しかし人のやっていることを否定する、今までやっていることを否定するということは、かなり大変なことなんです。車を例とすれば、車の教習所に通っている時に、必ず言われるんですね。車に乗る前に必ず毎日点検しなさい、と。しかし恐らくプロの運転士、タクシーやバスの運転士以外は、車に乗る前に必ず点検するという人はそんなにいないと思います。しかし車は長く乗っていると、どこか不都合が出てくるんですね。どこか故障する可能性があるんですね。しかし故障しなければ、ほとんど直さないですね。つまりそのまま放っておくんですね。日本には2年間もしくは3年間に1回の車検というものがあって、強制的に点検させられる場合があるのですけれども。しかしこの定期的な点検の義務付けがない国はいっぱいあるわけです。ですから故障や事故でもしなければ、どういう問題があるか分からないですね。

人生もそうなんですね。だから我々は失敗からどんなものを学べるのか。失敗とは自分が求めるものでもなくて、人から貰うものでもなくて、神様からのプレゼントなんですね。なぜそこまで言えるかというと、少なくとも我々は失敗から3つのプレゼントを貰っているわけです。どういう3つのプレゼントかと言うと、1つ目は学ぶチャンスを貰っている。

失敗から貰う3つのプレゼント①<学ぶチャンス>失敗しない場合は今までどおりやっていけばいいんですから、新しく学ぶことは基本的にはないです。今までのままで良かったじゃないですか、ということですね。2番目。失敗によって我々は直すチャンスを貰った。

失敗から貰う3つのプレゼント➁<問題を直すチャンス>まさにこうなんですね。壊れていないのにどうして直すのと。しかし失敗ということは、ある意味で今までのことがうまくいかなくなった。だからチャンスであり、直すんですね。そして3番目は失敗によって謙遜するチャンスを貰うんですね。

失敗から貰う3つのプレゼント③<謙遜するチャンス>これは神様がくれるプレゼントなんですね。企業でも組織でも、大失敗がなければ改革はなかなか難しい。この失敗というのは神様から貰ったプレゼント、この3つのチャンス、学ぶチャンス、直すチャンス、謙遜するチャンスということは、これを大いに利用しなければいけないですね。会社の経営の失敗によってこそ、会社の内部を点検して、こういうやり方は間違っているんじゃないかと、全ての人がその時に初めて納得するわけです。何の失敗もなく改革するということは、ある意味で人の今までのことを否定するということであって、どんなにワンマン社長でも、どんなにリーダーシップのある人でも、なかなか改革というのは難しい。ですから改革というのは言葉としてはいいのですけれども、実際は何のきっかけもなくいきなり改革するということは、基本的にはうまくいかないですね。では今回の民進党の失敗から、民進党側、あるいは台湾人は何を学べたのか。どんなものを直すチャンスを与えられたのか。そして民進党政権そのものが果たして謙遜するようになるのか。実は今回の失敗は、台湾の内部の特に民進党を支持する台湾人から民進党に対して非難轟轟ですね。民進党は今回は国民党に負かされたというよりは、自分に負かされたということですね。自分のこと、内部闘争によって負けてしまったわけですね。しかし民進党のこの問題は果たして、今からの問題なのか。実はそうではないですね。例えば2020年の総統選挙、国政選挙。総統選挙ではその中に3つの票があったんですね。一つは総統を選ぶ票、もう一つの票は国会議員ですね、選挙区の議員票なんですね。そして3つ目は政党票ですね。どの政党に票を入れるか。日本の比例代表は基本的には選挙区の票を一緒に合算しています。台湾の比例代表は100%政党票のみで計算しているわけです。2020年、蔡英文総統が得た票は全部で817万票なんです。しかしその時に民進党に入れる票、つまり民進党の政党票はたったの481万票なんですね。この差は300数十万票の差なんですね。2020年総統選挙:蔡英文得票817万票、2020年政党票(比例代表):民進党得票481万票※その差は336万票ある300万票以上の差、これは何を意味しているのかと。蔡英文を支持している、では民進党に政権を取らせたい、蔡英文が当選しないと民進党政権ではなくなるんですね。しかし民進党を支持するかというと、たったの481万票なんですね。そして今回の地方選挙で民進党に入れた票は何票あるのか、全部で474万票ですね。つまりこれは、2020年の民進党の政党票とほぼ同じくらいなんです。これは何を意味しているかというと、台湾の国民は民進党を支持するというよりは、民進党に政権を取らせたい、だけれども民進党にやっぱり不満を持っているということなんですね。その不満とは何か。2020年、もう一度政権を取らせたい。実は蔡英文政権の一期目は2016年なんです。2016年に政権を取らせて2020年までのこの4年間もう一度政権を取らせたい。しかし政党の支持票はたった481万票。民進党に対する不信とは、どういうところなのかというと、確かに政権を取ってからは、外交・国防・対中国の方面において、非常によくやってくれている。しかし民進党が約束してくれた、例えば司法改革や不動産高騰の問題、住居の問題、若者が自分のマイホームを買えないと言う問題。それに全く手をつけていなかったということなんですね。

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